薬剤師は有給が取りにくい職種と言えます。
有給を拒否される、もしくは取りにくい環境にされるのは法律的にどうなのか、確認してみました。
薬剤師の有給を経営者側は拒否できるのか
結論として経営者側は、条件が揃えば薬剤師の有給を拒否することも可能です。
その条件とは、「事業の正常な運営を妨げる」事情(労働基準法第39条第5項但書)があり、かつ代替要員を確保するなどが困難な場合です。
このような経営者側の権利を、「時季変更権」と言います。
また、就業規則などに、休暇を取る場合の申し出期限を設定することも合理的なものであれば、合法となるとされています。
参考文献:株式会社じほう 薬局・薬剤師のためのトラブル相談Q&A
原則は労働者が自由に取得できる
前項では、有給を経営者側が拒否できる時季変更権について確認しましたが、この権利はあくまで事業の正常な運営を妨げる事情ある場合であり、しかも代替要員確保の努力をするようなことが前提です。
経営者側の時季変更権はあくまで例外的なケースであり、原則は労働者側が有給の日時を指定して経営者側に通知すれば、有給を取得できるのが原則です。
また、その際には、休暇の理由を伝えたり、許可や承認の必要はないとされています。
有給を指定する権利は「時季指定権」と言われており、原則はいつでも有給を取ることが可能となります(参考文献:前述と同様)。
有給の取りやすさは会社によって様々
前述の通り、薬剤師が有給を取る場合、条件が揃えば法律上は会社側が拒否することも可能となりますが、それはあくまで例外的な話であり、原則は労働者側が自由に取れるべきです。
私自身、複数の会社の薬局を経験していますが、有給の取りやすさは会社によっても大きく変わってきます。
やはり大きい会社であれば、欠員が出たときの人員補充の方法もシステム化されているケースが多く、休みを取りやすい印象はありました。小規模の会社の薬局だと、そもそも他の店舗に回せる人員がいなくて、欠員がでたまま、なんてこともよくありました。
一概に、大手なら取りやすく、中小だと取りにくいとは言えませんが、会社によって異なることは間違いありません。
希望の日に有給が取れない問うことが一回あった、というだけで転職を考えるのは気が早いかですが、、例えば、何回も有給取得を断られたというケースや、冠婚葬祭・出産の立会いなど人生の大事な節目でも有給を取れなかったといったケースでは、転職を考えるのもやむをえないかもしれません。
転職という手段を取る場合、有給の取りやすさを必ず転職サイトの担当者に条件として伝えましょう。その際、「有給はほぼ消化する予定です。」とか「急な休みを取ることもあるかもしれません。」くらいのことは予め伝えておきましょう。
その理由として、このようなことを伝えておけば、社員に有給なんかとらせるか、という考えの会社からは採用されなくなる可能性が高いためです。薬剤師の求人は未だに薬剤師にとって、売り手市場です。
社員に有給を取らせないブラックな職場はこちらから振り落としてやるくらいの気持ちで行った方が、結果的に良い職場に巡り会う可能性が高くなります。
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