薬剤師の正しい副作用の伝え方

01 薬剤師実務

患者さんへの服薬指導で、副作用についてどこまで伝えるかは迷うところです。

今回は副作用の伝え方について考察してみました。

副作用を全て伝えるのは不可能

まず考えたいのは、それぞれの薬に副作用はどの程度あるのでしょうか。

ロキソニン錠を例に挙げてみます。

重大な副作用は、

「ショック、アナフィラキシー」、「無顆粒球症、溶血性貧血、白血球減少、血小板減少」、「中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)」、「急性腎障害、ネフローゼ症候群、間質性腎炎」、「うっ血性心不全」、「間質性肺炎」、「消化管出血」、「消化管穿孔」、「小腸・大腸の狭窄・閉塞」、「肝機能障害、黄疸」、「喘息発作」、「無菌性髄膜炎」、「横紋筋融解症」

であり、計13種類です。この時点ですでに多いですね。

続いては、その他の副作用です。

タイピングするのは現実的じゃないので、ロキソニンの添付文書を引用させてもらいます。

ざっと数えても30は超えていますね。

ロキソニンが特に副作用の種類が多いというわけでもないので、どの薬もこれくらいかこれ以上のケースも多いのではないでしょうか。

いずれにしても種類が多すぎて、全ての副作用を説明するのは現実的ではありませんね。

❕付録:薬剤師クイズ 〜疑義照会が必要かも〜❕

70代男性、以下の継続処方あり。

Rp.1)ジャヌビア50mg 1錠
分1 朝食後     30日分
Rp.2)アジレクト1mg 1錠
分1 朝食後     30日分
Rp.3)アミティーザ24μg 2cap
分2 朝夕食後    30日分

主訴)
・便秘はまだ続いている。薬続けて様子みるよ。
・腰も痛い状態が続いてて、整形で痛み止めのカプセルが追加になった。
・最近トイレに起きる回数が多くて。尿が出るのも少し時間がかかるかな。

上記の患者さんで疑義照会が必要な可能性があります。

適切な情報提供をしないと法的な責任も

しかし、一方で副作用についても適切な情報提供をしないと、薬剤師にも法的な責任が問われるケースがあります。

薬局・薬剤師のためのトラブル相談Q&A(赤羽根秀宜 著 株式会社じほう 発行)という書籍で紹介されている事例では、高松高等裁判所判決平成8年2月27日判例タイムズ908号232頁の事例で、TENを起こしたものがあります。

この事例では、アレビアチンとフェノバール併用によりTENを発症して死亡し、医師に中義務違反があったとして損害賠償請求をされています。

裁判所は「その副作用の結果が重大であれば、発症の可能性が極めて低い場合であっても、副作用が生じたときには早期に治療することによって、重大な結果を未然に防ぐことができるように、服薬上の留意点を具体的に指導すべきである」としました。

この判例では医師に対する責任を追求したものですが、現代社会ではおそらくこの責任が薬剤師も負う社会情勢になっていると想定されます。

患者さんが服薬拒否をしない様に

一方で副作用を強調しすぎて、患者さんが薬を服用しにくくなる事態も避けなければなりません。

薬剤師の説明により、患者さんが服薬拒否をしてしまった場合は、クリニックとの関係に影響してしまう可能性があり、また違った問題に発展してしまう可能性があります。

前述のTENを発症した事例において、裁判所は「痙攣発作を抑える薬を出しているが、ごくまれには副作用による皮膚の秒ウキが起こることもあるので、かゆみや発疹があったときにはすぐに連絡するように」という程度の説明が必要とも述べていたとのことです。

つまりは、副作用の全てを伝える必要があるということではなく、その副作用の初期症状などは伝えておくべきであったという解釈ができます。

患者さんが服薬拒否をしないように、恐ろしい副作用を強調するのではなく、まれに誰でもわかるような初期症状がおこるという可能性を伝えておき、万が一の時に気づける様にしておくことが大事と言えるでしょう。

正しい副作用の伝え方の考察

前述の様な点から、薬剤師の患者さんにたいする正しい副作用の伝え方を考察すると、副作用名ではなく、重要な初期症状を患者さんにわかりやすい言葉で説明する、その際には患者さんを不安にさせない様伝える、といったところでしょうか。

全ての副作用を一回の服薬指導で伝えきるのは不可能です。絶対に注意してほしい副作用はについては表現をやわらくして伝え、気に留めておく程度で良いと認識させる事です。

例えば、食欲不振や嘔気、軟便などの消化器症状は頻度の違いこそあれ、どの薬剤でも可能性があります。患者さんの方でもそのような症状があれば薬のせいかもと分かるケースが多いので、特に頻度が高い薬剤でない限りは無理に説明しなくても良いでしょう。

そして、絶対に注意してほしい副作用、例えば高インフルエンザ薬の異常行動などは、「まず心配はないと思いますが・・・」という枕詞、「ごく稀に異常行動の報告があるようです」めったにない事を強調、「頭の片隅に置いておく程度で大丈夫です」など、気にはとめさせるものの、不安にはさせないよう注意が必要です。

横紋筋融解症なども、無理に難解で恐ろしい印象を与えるような副作用名をあげる必要はなく、「筋肉痛が続いたり、おしっこの色が変わるような事があったら」など初期症状を柔らかい表現で伝えるのが良いと思います。

どの患者さんにどの程度使えるかの配分については、薬剤師の腕の見せ所とも言えます。個人的には注意したいのは、副作用歴のある患者さんとアレルギーのある患者さんだと考えています。

直ちに命に関わる様な副作用はアレルギー型の副作用のケースが多いため、過去に副作用歴のあった薬と近い系統の薬が処方されるいるケースや、アレルギーを複数持っている患者さんなどは、特に副作用の説明に気を使うべきと言えるでしょう。

 

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