疑義照会したら処方が変更となり、処方箋が再発行されちゃった、差し替え依頼が来た、なんて経験ありませんかね。
今回はこのようなケースの問題点と実際の対応をまとめました。
疑義照会したら処方箋が再発行|問題点は?
疑義照会したら処方箋が再発行された場合はどうするべきか。
基本は疑義照会の記録を書いた元の処方箋を原本とし、再発行の処方箋は参考扱いとするのが安全でしょう。
理由としては以下の2点です。
①はまさしく法律違反ですね。
まぁ正直、重複投薬・相互作用等防止加算も算定せず、記録に残すような意味もあまり無い事務上の不備(保険番号の間違いとか、処方日数30日分が300日になってたとか…)なら、サクッと差し替えても問題なような気もしますが。。。
②も重要ですね。
重複投薬・相互作用等防止加算の算定した場合、処方箋の疑義照会の記載が算定の根拠にもなります。万が一個別指導で当たったような場合に、差し替えの処方箋では結構やばいパターン(最悪不正請求を疑われる)になり得ます。
もちろん薬歴にも疑義照会の経緯は記録が必要なので、そっちを見れば経緯がわかるという言い訳もできますが、やっぱり薬剤師法の観点からも、疑義照会前の処方箋は残しておくのが安全でしょう。
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薬剤師法における疑義照会の記録と、疑義照会した際の算定
前述のとおり、処方箋の差し替えは結果として薬剤師法の違反となる可能性があります。
薬剤師法施行規則
第十五条 法第二十六条の規定により処方せんに記入しなければならない事項は、調剤済みの旨又は調剤量及び調剤年月日のほか、次のとおりとする。
一 調剤した薬局又は病院若しくは診療所若しくは飼育動物診療施設の名称及び所在地
二 法第二十三条第二項の規定により医師、歯科医師又は獣医師の同意を得て処方せんに記載された医薬品を変更して調剤した場合には、その変更の内容
三 法第二十四条の規定により医師、歯科医師又は獣医師に疑わしい点を確かめた場合には、その回答の内容出典:e-GoV
上記の通り、「処方せんに記載された医薬品を変更して調剤した場合には、その変更の内容」、「疑わしい点を確かめた場合には、その回答の内容」を記入する必要があります。
また、疑義照会を行い処方変更があった場合に算定できる可能性があるのが、「重複投薬・相互作用等防止加算」ですね。
平成30年3月5日 保医発0305第1号 の「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)」では以下のように規定なっています。
重複投薬・相互作用等防止加算
ア 「注4」の重複投薬・相互作用等防止加算は、薬剤服用歴の記録又は患者及びその家族等からの情報等に基づき、処方医に対して連絡・確認を行い、処方の変更が行われた場合に算定する。 ただし、複数の項目に該当した場合であっても、重複して算定することはできない。なお、薬剤服用歴管理指導料を算定していない場合は、当該加算は算定できない。
イ 「イ 残薬調整に係るもの以外の場合」は、次に掲げる内容について、処方医に対して連絡・確認を行い、処方の変更が行われた場合に算定する。
① 併用薬との重複投薬(薬理作用が類似する場合を含む。)
② 併用薬、飲食物等との相互作用
③ そのほか薬学的観点から必要と認める事項ウ 「ロ 残薬調整に係るものの場合」は、残薬について、処方医に対して連絡・確認を行い、処方の変更が行われた場合に算定する。
エ 重複投薬・相互作用等防止加算の対象となる事項について、処方医に連絡・確認を行った内容の要点、変更内容を薬剤服用歴の記録に記載する。
オ 同時に複数の処方箋を受け付け、複数の処方箋について薬剤を変更した場合であっても、1回に限り算定する。
こちらは薬歴の記載が明記されており、厳密には処方箋への記載については触れてませんが、算定の根拠とする上ではやはり処方箋にも経緯が記録されている方が良いでしょう。
処方箋を差し変えて、元の処方箋を返すように言われた場合は?
困るパターンとして、処方箋を差し替えられて、さらに「元の処方箋は返却してください」、と言われた場合。
適当なのかちゃんとしているのか、よくわからないですよね、、、実際に私も経験があります。
第一段階の対処法としては、根拠となる薬剤師法を説明して差し替えをやめてもらう、ですね。
「記録として必要」、「経緯がわからなくなる」とか言うより、「法律違反になるので」と言う方が効果的です。(経験上。。。)
それでも納得してくれないケースもあるし、昔からのしきたりとか自分の立場上意見できないようなケース(本来あってはいけないでしょうけど)ではどうするか。
私個人の場合は、元の処方箋のコピーを必ずとりますね。そのコピーに疑義照会の内容とコピーになってしまった経緯を記録して、差し替えの処方箋とセットで保存する。
厳密に言えば原本は差し替え後の処方箋になってしまいますが、コピーだけでもあればいざという時に経緯の説明が可能となります。
個人的な経験ではこれだけやっておけば、後々も問題になったケースはありませんでした(今のところですが。)。
とにかく重複投薬・相互作用等防止加算を算定しているのに、疑義照会をした経緯がわからないというパターンは避けたいところ。処方箋を見ただけでも経緯がわかるようにしておくのが良いでしょう。
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