添付文書の新記載要領の内容と変更点|新様式はいつから?

03 法規・ルール

医薬品の添付文書について、新記載要領の内容と変更点、いつから実施されるかなどについて確認していきます。

添付文書の新記載要領の概要|いつから変わる?

医薬品の添付文書は新記載要領に従って、新様式に変わります。

この変更は2019年4月から運用開始となり、移行期間が2024年3月末までとなるため、この時期までにすべての添付文書が新様式に沿った形となります。

この新記載要領の背景には、1997年の通知に基づき作成されていた添付文書の記載要領について、厚生労働科学研究班などによってよりより内容になるよう検討されてきました。

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一年目で辞めてしまった薬剤師にアンケートを実施した結果、退職理由で最も多かったものはどれ?

A. 勤務時間やシフトの不満
B. 業務内容の不満
C. 人間関係の不満
D. 給与面の不満

添付文書の新記載要領の内容と従来からの変更点

新記載要領の添付文書における、従来からの主な変更点は以下のようなものです。

・「原則禁忌」の廃止

・「慎重投与」、「高齢者への投与」、「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」、「小児等への投与」の廃止

・「特定の背景を有する患者に関する注意」の新設

・項目番号の設定

・副作用の「概要」の廃止

それぞれ詳しく見ていきましょう

「原則禁忌」の廃止

一番大きい変更点と言えるかもしれないのが、原則禁忌の廃止です。

正直、薬剤師としても対応が悩ましかった原則禁忌なので、廃止されるのはわかりやすくなるかもしれませんね。

今後は、「禁忌」に移行するか、新設の「特定の背景を有する患者に関する注意」の中における「合併症・既往歴のある患者」などへ記載されることになります。

現状では、例としてロペミンの添付文書に原則禁忌があり、内容は以下の通りです。

原則禁忌
(次の患者には投与しないことを原則とするが、特に必要とする場合には慎重に投与すること)
1.感染性下痢患者[治療期間の延長を来すおそれがある。]
2.潰瘍性大腸炎の患者[中毒性巨大結腸を起こすおそれがある。]
3.6カ月以上2歳未満の乳幼児[「小児等への投与」の項参照]

ロペミンカプセル1mg/ ロペミン細粒0.1%

これらの内容が新様式では、禁忌か特定の背景を有する患者に関する注意に移行されることが想定されます。

禁忌に移行するかどうかは、これまでのエビデンス等からの判断になることが予想されますが、現時点では、禁忌と同様の扱いで考えておく方が良さそうですね。

「慎重投与」、「高齢者への投与」、「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」、「小児等への投与」の廃止

これらの項目は後述の新設される項目である「特定の背景を有する患者に関する注意」に統一されて記載されることになります。

慎重投与の記載内容は、他の項目とも重複して記載されていることもあり、これらの記載内容が整理されると考えると、添付文書がより読みやすくなると言えるかもしれないですね。

「特定の背景を有する患者に関する注意」の新設

他の患者と比べて注意が必要と考えられる患者などについて記載される項目が新設されます。

従来の「慎重投与」、「高齢者への投与」、「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」、「小児等への投与」などもここの項目に集約されることになります。

項目の詳細として以下の区分があります。

・合併症・既往歴等のある患者

・腎機能障害患者

・肝機能障害患者

・生殖能を有する者

・妊婦

・授乳婦

・小児等

・高齢者

項目番号の設定

それぞれの項目(「警告」、「禁忌」、「効能または効果」など)に対して、固有の項目番号が設定されます。

その項目に該当する記載事項がない場合は、その番号は欠番となるため、どの薬剤の添付文書でも同じ項目は、同じ番号が付与されます。

これにより、その薬剤の添付文書について、該当の項目の注意事項の有無がわかりやすくなります。

例えば、妊婦に関する注意事項があるかどうか、従来の添付文書では記載自体がない場合は、それを確認するのにも時間がかかっていましたが、新様式では、妊婦の注意事項は「9.5」の番号となるため、この「9.5」の記載がなければ、妊婦に関する注意事項はないということがすぐにわかります。

この項目番号の設定は、薬剤師をはじめとした医療従事者にありがたい変更と言えますね。

副作用の「概要」の廃止

副作用の項目には、臨床試験や製造販売後調査の安全性の結果の概要が記載されており、頻度の比較的高い副作用などがわかりやすく記載されていました。

例として、ロキソニン錠60mgの従来の添付文書では、副作用の項目に以下のような概要の記載があります。

総症例13,486例中副作用の報告されたものは409例(3.03%)であった。その主なものは、消化器症状(胃部不快感、腹痛、悪心・嘔吐、食欲不振等2.25%)、浮腫・むくみ(0.59%)、発疹・蕁麻疹等(0.21%)、眠気(0.10%)等が報告されている。

ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10%

上記のように、比較的頻度の高い副作用が読み取りやすくなっていますが、新様式では、副作用の項目からこの記載がなくなることになります。

「臨床成績」の項目と重複があるというのが、廃止の理由のようですが、個人的にはこの概要は残してももらってもよかったかと思います。

添付文書の新記載要領について参考になるサイトや書籍

添付文書の新記載要領について参考になるサイトとして、科研製薬のサイトが参考になります。

科研製薬株式会社 医療用医薬品添付文書新記載要領について

 

また、新記載要領に関して解説している書籍として、株式会社じほうが出版している「薬をもっとつかいこなすための添付文書の読み方活かし方」が比較的わかりやすく解説しています。

❕付録2:薬剤師クイズ 〜辞めた後の問題〜❕

一年目で辞めてしまった薬剤師へのアンケートで、「退職後に問題になったこと」で最も多かった回答はどれ?

A. 転職先で経験や技術が不足していると感じた
B. 給料が下がった
C. その後も転職を繰り返すようになった
D. 特に問題になることはなかった

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