PPIとタケキャブの投与制限と長期処方|薬局のレセプトでコメントが必要な場合は

05 消化器

オメプラール・オメプラゾン(オメプラゾール)、タケプロン(ランソプラゾール)、パリエット(ラベプラゾール)、ネキシウム(エソメプラゾール)などのPPI、さらにPPIの改良版P-CABであるタケキャブ(ボノプラザン)について、投与日数の制限と長期処方の可否、薬局でのレセプトの際にコメントが必要なケースをまとめました。

PPIとタケキャブは投与日数の制限がある

大前提としてPPIとタケキャブは症状に応じて投与制限があり、長期の処方にはそれなりの理由が必要となる薬剤です。

ちなみにPPIやタケキャブの投与期間制限があるのは、80〜90%以上の治癒が得られる投与期間(胃潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎:8週間、十二指腸潰瘍:6週間)が根拠になっているとされています。例外として、非びらん性胃食道逆流症は8週間投与しても自覚症状の改善は4週間投与とほぼ同じであるという報告から4週間となっているようです。

参照:EAファーマ 製品Q&A http://www.eapharma.co.jp/medicalexpert/ethical/qa/18.html

その他にも、PPIは頻度は高くないものの、腎機能障害や死亡リスク・認知症の増加の報告があったりするため、このあたりも長期処方が好ましくないとされている要因の一つかもしれませんね。

日本腎臓学会 https://www.jsn.or.jp/member/news/_3378.php
m3.com 臨床ニュース https://www.m3.com/open/clinical/news/article/547973

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A. 勤務時間やシフトの不満
B. 業務内容の不満
C. 人間関係の不満
D. 給与面の不満

オメプラール・オメプラゾン(オメプラゾール)の投与制限

・胃潰瘍、吻合部潰瘍は20mgを8週まで

・十二指腸潰瘍は20mgを6週まで

・逆流性食道炎は20mgを8週まで、再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法は10~20mgで継続

・非びらん性胃食道逆流症は10mgを4週まで

上記の通り、原則は長くても8週までとなります。8週を超える場合は、再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎と想定されますが、薬局側ではレセプトコメントを入れておくのが無難と言えるでしょう。

ちなみにオメプラゾールは他のPPIで認められている「低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制」や「非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制」の適応がありません。

ロキソニンとオメプラールの処方は厳密に言うと???、、、と言えますが、あくまで処方権は医師なので。。。

タケプロン(ランソプラゾール)の投与制限

・胃潰瘍、吻合部潰瘍は30mgを8週まで

・十二指腸潰瘍は30mgを6週まで

・逆流性食道炎は30mgを8週まで、再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法は15mg・効果不十分の場合は30mgで継続

・非びらん性胃食道逆流症は15mgを4週まで。

・低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制は15mgで継続

・非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制の場合は15mgで継続

タケプロン(ランソプラゾール)では、15mgの場合は投与期間制限がないケースもあるため、ある程度長期でもレセプトコメントはなくても大丈夫と言えそうです。

30mgの場合は原則8週までと考えられるため、薬局側ではレセプトコメントを入れておくのが無難と言えるでしょう。

パリエット(ラベプラゾール)の投与制限

・胃潰瘍、吻合部潰瘍は10mg or 20mgを8週まで

・十二指腸潰瘍は10mg or 20mgを6週まで

・逆流性食道炎は10mg or 20mgを8週まで、効果不十分の場合10mg or 20mgを1日2回でさらに8週(ただし、20mg1日2回は重度の粘膜障害)、再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法は10mg1日1回・効果不十分の場合は10mg1日2回で継続

・非びらん性胃食道逆流症は10mgを4週まで。

・低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制は5mg・効果不十分の場合は10mgで継続

・非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制は5mg・効果不十分の場合は10mgで継続

パリエット(ラベプラゾール)の最大の特徴は、1日2回使用できるケースがあることです。基本的には逆流性食道炎のみで、最初から1日2回の用法はないため、注意が必要です。

レセプトコメントが必要なケースとして、10mgを1日2回で8週を超える期間継続した場合などが挙げられるでしょうか。

ちなみに20mgを1日2回という最大用量は長くても8週までであり、それ以外の例外がないため、20mg1日2回が8週を超える場合は必ず疑義をかけるのがセオリーです。

ネキシウム(エソメプラゾール)の投与制限

取り急ぎ成人のケースに限定します。

・胃潰瘍、吻合部潰瘍は20mgを8週まで

・十二指腸潰瘍は20mgを6週まで

・逆流性食道炎は20mgを8週まで、再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法は10~20mgで継続

・非びらん性胃食道逆流症は10mgを4週まで。

・低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制は20mgで継続

・非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制の場合は20mgで継続

ネキシウムの場合は、小児でも適応がありますが、体重で用量はかわるものの、投与日数制限は成人と変わりません。

ネキシウムと他のPPIとの違いとして、「低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制」と「非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制」で使用する場合でも、高用量の20mgの方を使用する点があります。

このため、高用量の20mgを継続しても薬局側では他のPPIよりレセプトを切られるケースは少ないかもしれません。しかし、個人的にはネキシウムも8週を超えた場合はコメントを入れるのが無難でしょう。

タケキャブ(ボノプラザン)の投与制限

・胃潰瘍は20mgを8週まで

・十二指腸潰瘍は20mgを6週まで

・逆流性食道炎は20mgを4週まで、効果不十分の場合は8週まで、再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法は10mg、効果不十分の場合は20mgで継続

・非びらん性胃食道逆流症は10mgを4週まで。

・低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制は10mgで継続

・非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制の場合は10mgで継続

タケキャブは逆食の場合、一応他のPPIと異なり4週まで。しかし、効果不十分の場合は8週までとなります。そして他のPPIと同様に再発・再燃を繰り返す場合は継続可能となる。

レセプトコメントを入れたほうが良い境目はやっぱり個人的には8週だと思います。10mgの方はあまり問題ないかもですが、20mgを8週超えて継続する場合はやっぱり薬局側ではレセプトコメントを入れとくと安全でしょう。

長期処方の場合のレセプト|薬局のコメントは

各種PPIとタケキャブの投与日数制限は前述の通りですが、それを超える期間で処方が来た場合、薬局側ではまずは疑義をかけるのが良いでしょう(もちろん、クリニック側との距離感もご考慮いただいてですが。。。)。

疑義の上、処方に変更がない場合は薬局側ではレセプトのコメントを入れておくのが無難でしょう。

例えばタケキャブ20mgが28日分で処方され、それが3回続いた場合は8週間を超えることになります。タケキャブ20mgは、再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法においては、8週を超える場合も10mgで効果不十分の場合は20mgで継続する用法があります。

そのため、コメントがなくても、レセプトを切られない可能性もありますが、念のため医師への疑義+レセプトコメントで「タケキャブ20mg継続の指示あり」など入れておくと確実でしょう。個人的には都内ではこの内容で今の所レセプトは大丈夫そうです。

 

 

❕付録2:薬剤師クイズ 〜辞めた後の問題〜❕

一年目で辞めてしまった薬剤師へのアンケートで、「退職後に問題になったこと」で最も多かった回答はどれ?

A. 転職先で経験や技術が不足していると感じた
B. 給料が下がった
C. その後も転職を繰り返すようになった
D. 特に問題になることはなかった

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