2019年5月17日に安全性速報(ブルーレター)が発出されたベージニオについて確認していきます。
ベージニオの特徴
成分名はアベマシクリブ。製造販売元は、日本イーライリリー株式会社。
分子標的治療薬であり、CDK4/6阻害薬の一つ。
適応は「ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」。
類薬として、イブランス(成分名:パルボシクリブ)がある。
用法は、「内分泌療法剤との併用において、通常、成人にはアベマシクリブとして1回150mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。」
発売日は2018年11月30日。まだまだ新薬の部類に入る。
作用機序は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4 及び 6 に対して選択的な阻害作用を有する経口投与可能な低分子化合物であり、CDK4 及び 6-サイクリン D の複合体の活性を阻害し、retinoblastoma 蛋白(Rb)のリン酸化を阻害することにより、細胞周期の進行を停止し、腫瘍の増殖を抑制する(ベージニオ錠 インタビューフォーム)。
薬価は、以下の通り。
薬剤名 | 薬価 |
ベージニオ錠50mg | 3258.7円 |
ベージニオ錠100mg | 5949.2円 |
ベージニオ錠150mg | 8460.1円 |
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ベージニオの安全性速報(ブルーレター)の内容
「間質性肺疾患」の重篤症例が14例集積、そのうち3例が死亡の転帰となったとのこと(ベージニオ錠 安全性速報(ブルーレター))。
医療従事者に対しては、間質性肺疾患の初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)を確認し、胸部X線検査の実施等を呼びかけ。
異常が認められた場合には、ベージニオを中止し、必要に応じて、胸部CT、血清マーカー等の検査や処置を実施。
間質性肺炎の初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)について、患者さん本人や家族にも注意してもらうこともあわせて注意喚起されている。
また、今回のタイミングで添付文書が改訂。
警告に間質性肺疾患について追記。
慎重投与に「間質性肺疾患のある患者又はその既往歴のある患者」が追記。
重要な基本的注意に「間質性肺疾患の初期症状が発現した場合」の内容が追記。
重大な副作用の間質性肺疾患の項目に、中止後の検査実施などの内容が追記。
安全性速報(ブルーレター)には、実際の死亡例も1例記載あり。
50代女性。右乳癌 Stage IV 。遠隔転移部位(骨、肺、胸膜、対側乳房)。
薬剤師としてやるべきこと
もし使用している患者さんがいたら、肺疾患の副作用が新たに報告されていることをお伝え。
間質性肺炎の初期症状にあたる息苦しさ、咳、熱などがないかを確認。本人や家族に継続して確認するよう注意喚起する。
上記は最低限実施しておきたいところ。その他に、できれば処方医ともコミュニケーションをとっておきたい。
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