調剤録の記載事項や保存期間の根拠|疑義照会も書く必要がある?

03 法規・ルール

今回は薬局の業務における調剤録に関してです。

調剤録は割と事務さん側の作業になってて薬剤師でも詳しく整理してなかったといったケースもあるかと思いますが、一応法律に基づいて記載事項や保存期間が決まっているので確認していきましょう。

調剤録の記載事項は薬剤師法で規定

調剤録の記載事項は、薬剤師法28条と、薬剤師法施行規則16条にて規定されています。

(調剤録)
薬剤師法第二十八条 薬局開設者は、薬局に調剤録を備えなければならない。
2 薬剤師は、薬局で調剤したときは、調剤録に厚生労働省令で定める事項を記入しなければならない。ただし、その調剤により当該処方せんが調剤済みとなつたときは、この限りでない。
3 薬局開設者は、第一項の調剤録を、最終の記入の日から三年間、保存しなければならない。
出典:電子政府の総合窓口 e-Gov

薬剤師法では調剤録の基本的なことと保存期間3年が定められています。

 

(調剤録の記入事項)
薬剤師法施行規則第十六条 法第二十八条第二項の規定により調剤録に記入しなければならない事項は、次のとおりとする。
一 患者の氏名及び年令
二 薬名及び分量
三 調剤年月日
四 調剤量
五 調剤した薬剤師の氏名
六 処方せんの発行年月日
七 処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師の氏名
八 前号の者の住所又は勤務する病院若しくは診療所若しくは飼育動物診療施設の名称及び所在地
九 前条第二号及び第三号に掲げる事項
出典:電子政府の総合窓口 e-Gov

細かい記載事項が定められているのは薬剤師法施行規則の法ですね。

「患者の氏名及び年令」、「薬名及び分量」、「調剤年月日」、「調剤量」、「調剤した薬剤師の氏名」、「処方せんの発行年月日」、「処方せんを交付した医師等の氏名」、「医師等の病院等の名称及び所在地」、「前条第二号及び第三号に掲げる事項」となっています。

改めて見ると、結構書くこと決まってますね。

もう一つ確認したいのが、保険発第五七号の厚生省保険局医療課長通知 「保険薬局の分割調剤及び調剤録の取扱いについて」ですね。

2 調剤録について
保険薬局において作成する保険調剤録は、次に該当する事項を記入すること。
なお、この調剤録は、調剤済となった処方せんに調剤録と同様の事項を記入したものをもってかえることができること。
(1) 薬剤師法施行規則第一六条に規定する事項
(2) 患者の被保険者証記号番号、保険者名、生年月日及び被保険者被扶養者の別
(3) 当該薬局で調剤した薬剤について処方せんに記載してある用量、既調剤量及び使用期間
(4) 当該薬局で調剤した薬剤についての薬剤点数、調剤手数料、請求点数及び患者負担金額

こちらでは、施行規則16条に加えて「患者の被保険者証記号番号、保険者名、生年月日及び被保険者被扶養者の別」、「処方せんに記載してある用量、既調剤量及び使用期間」、「薬剤点数、調剤手数料、請求点数及び患者負担金額」も必要となっています。

ここまでを整理すると調剤録に必要な記載事項は以下の通りとなります。

・患者の氏名及び年令
・薬名及び分量
・調剤年月日
・調剤量
・調剤した薬剤師の氏名
・処方せんの発行年月日
・処方せんを交付した医師等の氏名
・医師等の病院等の名称及び所在地
・前条第二号及び第三号に掲げる事項
・患者の被保険者証記号番号、保険者名、生年月日及び被保険者被扶養者の別
・処方せんに記載してある用量、既調剤量及び使用期間
・薬剤点数、調剤手数料、請求点数及び患者負担金額

❕付録1:薬剤師クイズ 〜新人薬剤師の退職理由〜❕

一年目で辞めてしまった薬剤師にアンケートを実施した結果、退職理由で最も多かったものはどれ?

A. 勤務時間やシフトの不満
B. 業務内容の不満
C. 人間関係の不満
D. 給与面の不満

調剤録には疑義照会の内容も書く必要がある

疑義照会の内容についてですが、処方せんだけでなく調剤録にも書く必要があります。

根拠は薬剤師法施行規則16条の「九 前条第二号及び第三号に掲げる事項」ですね。

この「前条第二号及び第三号に掲げる事項」は、「医師等の同意を得て処方せんに記載された医薬品を変更して調剤した場合には、その変更の内容」と「医師等に疑わしい点を確かめた場合には、その回答の内容」なので、疑義照会のことをさしています。

ただ、処方せんの裏を調剤録としている場合は、処方せんか調剤録かどちらか片方で良いという内容があった気がするのですが…今回はその根拠が見つけられませんでした。

保険発第五七号の「この調剤録は、調剤済となった処方せんに調剤録と同様の事項を記入したものをもってかえることができること。」から処方せんか裏打ちかの片方だけで良いと読み取っても良いような気がしますが、これが根拠だったか、ちょっと怪しいです、すみません。

この点はまた改めて確認できたら追記します。

確実なのは、処方せん面と調剤録の両方に疑義照会内容を書いとく感じですかね。

調剤録の保存期間は3年か5年か

調剤録の保存期間は薬剤師法28条の記載の通り3年ですね。

ただし、一点注意が必要なのが、2020年5月8日の「民法の一部を改正する法律等の施行について」ですね。(出典:日本病院薬剤師会

こちらを平たく言うと診療報酬請求権等の時効期間などが5年になっているため、処方せん・調剤録も5年保存した方が良いだろうという内容です。

また、生保とか自立支援、難病、指定感染症だと保存期間が5年になってますよね。

このようのな理由から薬剤師法28条だと3年のままですが、5年が必要な処方せん・調剤録もあるといった感じです。

種類によって保存期間を分けるのが手間という場合は、一律で5年保存するというのも一つの手ですね。

❕付録2:薬剤師クイズ 〜辞めた後の問題〜❕

一年目で辞めてしまった薬剤師へのアンケートで、「退職後に問題になったこと」で最も多かった回答はどれ?

A. 転職先で経験や技術が不足していると感じた
B. 給料が下がった
C. その後も転職を繰り返すようになった
D. 特に問題になることはなかった

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