自分の長所を伝える自己PRは、志望動機と並んで転職の際に最も重要なアピールポイントと言えるでしょう。
自分を採用したらこのようなメリットがあるということを伝える意味もあり、志望動機と同様に採用側の採否の判断に関わるのはもちろんのこと、採用時の条件にも影響する可能性ももあります。こちらも十分に準備しておくのが大切です。
薬剤師の自己PR・スキルの考え方と書き方
自己PRは自分の実情に即して考えておくのが当然ですが、
- 自分の性格的・能力的な部分
- 今までの経験的な部分
- 転職したらそれらをどう生かすか
という点を組み合わせて考えましょう。
例えばコミュニケーション能力をアピールしたい場合は、自分が人と接することが好きという性格と、現在の職場でその性格を活かして営業成績で表彰されたことがある、この能力を活かして新しい職場でも患者さんと積極的にコミュニケーションを取りたい、などです。
ただし、実際には平凡な内容でも全く問題ありません。大事なのは自分の性格や能力、経験をポジティブに相手に伝えることができれば、内容にかかわらず好印象を持ってもらえるはずです。
なお、自己PRは面接の時に聞かれることを想定しておきましょう。この会社でどのように貢献してくれるか、また、今までの経験をどう生かすかなどの質問があった時に回答するようにしましょう。
もし面接でこのようなことを聞かれなかった場合でも、最後に質問時間などが設けられるのが一般的であるため、その際に自分をアピールするのに使っても良いでしょう。
履歴書には自己PRを書くような欄がない履歴書も多いです。その場合は、履歴書と別に職務経歴書を作り、自己PR欄を作って記載するようにしましょう。
別のページでも記載していますが、もし面接の際に職務経歴書の提出を求められていない場合でも自主的に作成しておき、面接の際に履歴書と共に提出することをおすすめします。単純にその方が自分をアピールするきっかけになるからです。
コミュニケーション能力の自己PRと例文
自己PRでアピールする項目としてコミュニケーション能力は比較的、一般的な項目です。そして、実際に採否を決める時にも重要視される能力と言えるでしょう。
ここでは履歴書や職務経歴書に書いたり、面接の際にアピールする用に、コミュニケーション能力についてアピール内容の例を挙げていきます。
なお、自分に特別な能力が備わっているようなアピールをする必要はありません。一般的なコミュニケーションを問題なく取れるという程度でも十分なアピールと言えます。
企業に務めていた経験からコミュニケーション能力をアピール|例文
企業に務めていた経験がある場合は、社外の担当者、社内でも別部門の担当者など、多くの人関わる機会があります。それらの経験を踏まえた内容でコミュニケーション能力をアピールしましょう。
以下、コミュニケーション能力の自己PR例文です。
私はもともと人とコミュニケーションをとることは決して得意ではありませんでしたが、製薬会社時代に社内のメンバーや他社の担当者など、多くの人が関わる中で業務を行うにあたり、事前にしっかりと準備をする、ということを通じて円滑にコミュニケーションを図れる様な努力をし、実際に業務をスムーズに進めるスキルを身につけられてと思っております。
このようなコミュニケーション能力を今後は薬剤師として、患者さんをはじめ同僚や処方医などとも円滑なコミュニケーションをとり、患者さんの健康に貢献していきたいと考えております。
病院や薬局での薬剤師の経験から得たコミュニケーション能力をアピール|例文
もともと別の調剤薬局や病院での薬剤師の経験がある場合は、そこでのコミュニケーションの経験をアピールするようにしましょう。
以下、コミュニケーション能力の自己PR例文です。
私は学生時代は同年代以外の人たちとコミュニケーションをとる機会が少なく、現在の職場でも最初は高齢の患者さんなどとはなかなかうまくコミュニケーションをとることができませんした。しかし、薬剤師として患者さんとの会話を重ねることで、持っている知識などをわかりやすい表現で伝えたり、日常的な会話についてもある程度うまく話せる様になりました。
新しい職場でも、これまでの経験を生かしつつ新しい知識も得ながら、なるべく多くの患者さんや、同僚、処方医の先生などともしっかりとコミュニケーションをとっていきたいと思います。
チャレンジ精神や行動力の自己PRと例文
自己PRでアピールする項目としてチャレンジ精神や行動力などもアピールしたい項目です。転職をしようと考えている時点で、一定のチャンレジ精神、行動力は自分に備わっていると前向きにとらえ、考えましょう。
ここでは履歴書や職務経歴書に書いたり、面接の際にアピールする用に、チャレンジ精神、行動力についてアピール内容の例を挙げていきます。
サラリーマン経験がある場合のチャレンジ精神や行動力の例文
企業に務めてサラリーマンとしての経験がある場合は、わかりやすい実績を記載して、チャレンジ精神・行動力をアピールしましょう。大それたことが必要なことではなく、経験のないことでも前向きに捉えられるということがわかれば些細なこともで構いません。
以下、チャレンジ精神や行動力の自己PR例文です。
新たな職場でも多くのことにチャレンジしていき、常に新しいことに挑戦していく様な姿勢で業務をこなしていきたいと考えております。
薬剤師として働いていた場合のチャレンジ精神や行動力と例文
別の調剤薬局や病院での薬剤師の経験がある場合は、これまでに行ったチャレンジ、行動力がわかる実績を伝える様にしましょう。同じ業種であるため、ある程度具体的な細かい点に触れても良いでしょう。
診療報酬の新設項目について、積極的に算定を目指したことや、医師とのコミュニケーションを積極的にとったことなど、アピールできる内容は多くあります。
以下、チャレンジ精神や行動力の自己PR例文です。
私は行動力やチャレンジ精神が備わっている性格であると考えており、今の職場でも新設の診療報酬の項目である服用薬剤調整支援料に関して、積極的に患者さんと医師に提案し、実際に何例かの患者さんにおいて算定することができました。
また、ジェネリック医薬品について患者さんが抱える疑問点や不安点を解消する様にし、医師にもオーソライズド・ジェネリックを進めるなどして、ジェネリックの使用率をあげることにも貢献できました。
貴社で採用していただいた場合にも多くのことにチャレンジしていき、よりよい職場に変えていくことができればと考えております。
適応能力・順応性の自己PRと例文
自己PRでアピールする項目として適応能力、順応性も定番のひとつと言えます。薬剤師として薬局の店舗への適応性・順応性は求めれられるスキルの一つと言えます。
ここでは履歴書や職務経歴書に書いたり、面接の際にアピールする用に、適応能力・順応性についてアピール内容の例を挙げていきます。
サラリーマン経験がある場合の適応能力・順応性の自己PRと例文
企業に務めてサラリーマンとしての経験がある場合は、部署において適応した経験を、さらに異動の経験があればその内容もアピールの一つとなります。
どのような環境に置かれてもある程度は適応できることがわかるようなアピールをしていきましょう。こちらも特に大それたことをアピールする必要はありません。
普通に職場のルールにしたがって業務をすることができ、必要に応じてそのルールを改善するような能力があれば十分なアピールとなるでしょう。
以下、適応能力・順応性の自己PR例文です。
私は適応能力・順応性が備わっていると自覚しており、製薬会社時代では新卒の研修終了後、医薬情報担当者として東北の担当となりましたが、採用の1月後からいくつかの医療機関に対して即担当となり、それに対して失敗もありましたが、何とか対応することができ、新卒の2年目には多くの医療機関の担当を任せてもらうことができました。
その後は本社勤務となり、全く異なる業務内容となりましたが、異動の一ヶ月後には新しいプロジェクトを担当することになり、こちらも不慣れなこともある中、無事に勤務管理の新しいルールを全社的に統一することができました。
薬局という職場でも今までの業務とは全く異なりますが、自分のもっている適応能力・順応性を活かして、1日でも早く戦力となるような努力をしてまいりたいと考えております。
薬剤師として働いていた場合の適応能力・順応性の自己PRと例文
薬剤師として働いていた場合も、前述の内容と特に変わりありません。今までの職場で普通に順応してきた内容をアピールし、店舗間を異動した経験があるような場合もアピールにつながります。
繰り返しになりますが、特に大それたことをアピールする必要はありません。普通に職場のルールにしたがって業務をすることができ、もし改善が必要な場合はルールの改善を訴えるような考えを示せば十分なアピールとなるでしょう。
以下、適応能力・順応性の自己PR例文です。
私は今の会社では、最初に配属となった店舗で、1ヶ月の研修ののち、従来のメンバーと同様の業務をこなすことをし、ある程度の適応能力を養うことができたと考えております。その後、店舗の異動を何回か経験していますが、いずれも職場ごとのルール等を尊重しつつ、改善した方が良いと感じた点は、提案をし、いくつかその提案を採用してもらったりした経験もあります。
今回、御社に採用していただいた際には、1日も早く順応できるようにし、改善点なども提案していければと考えております。
情報収集能力の自己PRと例文
自己PRでアピールする項目として情報収集能力をアピールする方法もあります。薬剤師は薬や疾患、法律などに関して常に最新の正しい情報を求めるスキルが要求されます。
ここでは履歴書や職務経歴書に書いたり、面接の際にアピールする用に、情報収集能力に関するアピール内容の例を挙げていきます。
サラリーマン経験がある場合の情報収集能力の自己PRと例文
企業に務めてサラリーマンとしての経験がある場合は、そこでの情報収集の実績がわかるエピソードなどがあると良いでしょう。
特別なことでなくても、正しい情報を常に収集しようとしている姿勢が伝わればアピールにつながるでしょう。
以下、情報収集能力の自己PR例文です。
私は薬剤師に必要な能力の一つとして情報収集能力が重要であると考えております。
製薬会社時代には医薬情報担当者として、薬に関する情報を添付文書やインタビューフォームはもちろん、関連する論文なども必要に応じて情報収集するようにしていました。
その他にもPMDAのメディナビにも自主的にメールアドレスを登録し、添付文書の改正情報や、医薬品の安全性情報を収集する習慣を身につけられたと思います。
実際に薬剤師として業務を行う際にも最新の正しい情報を患者さんに提供できるよう努力していきたいと思います。
薬剤師として働いていた場合の情報収集能力の自己PRと例文
薬剤師として働いていた場合は、実際に情報収集した経験などの具体例があれば、それらを伝えるようにしましょう。当たり前のことですが、添付文書やインタビューフォームをしっかり読んだり、必要に応じてメーカーに問い合わせたことなどでも十分と言えるでしょう。
以下、情報収集能力の自己PR例文です。
私は今の職場で薬剤師として業務をこなすにあたり、正しい情報得てから患者さんに薬を渡すということを心がけております。薬効や用法用量はもちろん、半割や粉砕の可否、一包化の可否、混合の可否、吸湿性なども必要に応じて調べ、不明点があるようなケースでは製薬会社に問い合わせる等で対応してきました。
薬剤師として当たり前に行う行為の一つと言えますが、このような情報収集能力を今後も活かしつつ、正しい情報を得て、患者さんが安心して薬を使えるように努力していきたいと思います。
協調性の自己PRと例文
薬局は少ないスタッフで店舗を回すケースも多く、協調性は薬剤師においても重要なスキルの一つと言えます。
この協調性を自己PRする際の例文をあげていきます。
サラリーマン経験がある場合の協調性の自己PRと例文
企業に務めてサラリーマンとしての経験がある場合は、部署単位、グループ単位での仕事の経験があるはずです。
同僚との協調性を重視したエピソードなどがあればそれを盛り込むようにしましょう。特別な経験がなくても、部署単位、グループ単位、チーム単位で大きな問題なく業務を行っていた事実をあげるだけでも構いません。
以下、協調性の自己PR例文です。
私は特別に協調性がある人間とは思っていませんでしたが、サラリーマン時代は、調査グループのメンバーと常に連携を図りながら業務を行っており、社会人としての協調性と言えるスキルを磨くことができたと考えております。
前職では業務の性質上、個人の作業だけで業務を完遂することはできず、私の作成した書類を同僚に確認してもらったり、その逆を行ったりする経験を得て、同僚のスケジュールや業務の進行状況などを常に意識するようになり、また、同僚の意見や指摘を受け入れながら業務を進めることも経験できました。
薬局という職場でも業務の種類は異なるものの、他のスタッフとの協調性が非常に重要であると認識しており、同僚となる方の都合も考えつつ業務を進めていければと思います。
薬剤師として働いていた場合の協調性の自己PRと例文
薬剤師として働いていた場合は店舗業での協調性の重要性は認識できていると思います。
その協調性がいかに重要であるかを、自分の言葉で表現して、共感を得られると良いでしょう。薬局の採用担当の人も協調性がいかに重要であるかを理解しているであろうことから、非常に高評価につながる可能性があります。
以下、協調性の自己PR例文です。
私は現在の職場でもっとも重要であるのが協調性だと考えております。
その理由として、以前に働いていた職場でスタッフメンバーの相性が悪く、業務がうまく回らない時期があった店舗において、非常に協調性の高いスタッフの方が異動されてきました。その後、その店舗はその人の気遣いのおかげて、スタッフ同士の連携がよくなり、残業時間の削減や、業務上のミスの減少、患者さんからの評判も改善したという経験があり、同僚への気遣いや思いやりがいかに重要かを知ることができました。
私もそのような協調性の高い人間になりたいと思っており、御社に採用していただいた際には、同僚の方の都合などを気遣えるスタッフになりたいと考えております。
薬剤師を未経験の場合の自己PRと例文
調剤薬局での保険調剤を未経験で転職する場合でも、自己PRの記載内容は全く問題ありません。
薬剤師は未経験でも可の転職案件は多い
まず大前提として、薬剤師の資格があれば、調剤経験がなくても採用してくれる調剤薬局は現時点では少なくありません。年収が経験者より多少低く設定されていたりするケースはあるものの、転職において特別に不利になることはあまりないと言えるので、経験の有無について見栄を張って申告をする必要はないことを注意しましょう。
現時点では未だに薬剤師不足の状況と言えるため、未経験であっても自分についてしっかり分析し、適切な自己PRをできれば、自分の希望にあったら転職先は見つかるでしょう。
製薬企業やCRO・一般企業などでの経験がある場合|チャレンジ精神や行動力をアピール
製薬会社やCRO、一般企業などに勤めており、いわゆるサラリーマン経験がある場合では、チャレンジ精神や行動力などについて自己PRするのが良いでしょう。
そもそもサラリーマンから全く業種が異なる薬局薬剤師に転職するわけですから、それだけでも十分なチャレンジと言えます。
サラリーマン時代に経験のないことも積極的にこなしたエピソードなどを盛り込んで自己PRを作成するのが良いでしょう。
自己PRの例文は前述の「チャレンジ精神や行動力の自己PRと例文」を参考にしてください。
ドラッグストアなどの接客業の経験がある場合|コミュニケーション能力などをアピール
ドラッグストアなどの店舗業の経験がある場合は、それらの経験が十分な自己PRにつながります。
調剤薬局の業務も大きなくくりで考えれば店舗業のひとつとも考えられます。必要な知識はやや異なりますが、店舗業のノウハウなどは生かせる部分が多くあるため、アピールにつながるでしょう。
コミュニケーション能力などはもっとも求められる能力の一つなので、得意でなくても経験したエピソードなどを混ぜて自己PRにつなげるという方法もお勧めです。
自己PRの例文は前述の「コミュニケーション能力の自己PRと例文」を参考にしてください。
自己PRは自分の性格や経験をそのまま書くだけでも良い
前述のとおり、いくつか自己PRの例文も紹介しましたが、あまり難しく考えず、自分の性格や経験をそのまま書けば良いものとして考えましょう。
一つ気をつけるポイントをあげるとすると、自分の性格や経験をネガティブなこととせず、ポジティブな印象を与えるようにするという点です。繰り返しの内容となりますが、全く平凡な内容で問題ありません。
薬剤師に非凡なクリエイティブなセンスを求めている薬局や会社はそうそうありません。当たり前のことを当たり前にやってくれて、それなりに前向きな薬剤師が求められています。
ですので、当たり前のことを当たり前に自己PRとして書き、少し前向きな内容を書けば、それが十分なアピールとなります。
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