ドグマチールの適応と用量と作用機序が複雑|患者さんへの服薬指導例を考えました

01 精神

うつ病と統合失調症、さらには胃・十二指腸潰瘍にも適応を持つドグマチールについて、その作用機序と用法用量をまとめました。

1人3役のドグマチール|うつ病、統合失調症、胃潰瘍に使われる

ドグマチールが新規で処方される患者さんには何で使われているのかわからないことがあります。

統合失調症は高用量なので見分けがつきやすいですが、胃・十二指腸潰瘍とうつ病・うつ状態については、用量も近いため区別がつきにくいです。

ドグマチールを処方された患者さんに対して、「うつ病ですか?」なんて聞くと大変な目にあう可能性があるので、初回の時は特に対象疾患について慎重に確認する必要がありますね。

一応、添付文書から各適応の用法用量を挙げときます。

胃・十二指腸潰瘍
スルピリドとして、通常成人1日150mgを3回に分割経口投与する。
なお症状により適宜増減する。

統合失調症
スルピリドとして、通常成人1日300〜600mgを分割経口投与する。なお年齢、症状により適宜増減するが、1日1,200mgまで増量することができる。

うつ病・うつ状態
スルピリドとして、通常成人1日150〜300mgを分割経口投与する。なお年齢、症状により適宜増減するが、1日600mgまで増量することができる。

❕付録1:薬剤師クイズ 〜新人薬剤師の退職理由〜❕

一年目で辞めてしまった薬剤師にアンケートを実施した結果、退職理由で最も多かったものはどれ?

A. 勤務時間やシフトの不満
B. 業務内容の不満
C. 人間関係の不満
D. 給与面の不満

ドグマチールの作用機序|基本はD2遮断

ドグマチールの作用機序ですが、基本はD2受容体の遮断ですね。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍に対する作用機序は、ドパミンD2受容体に遮断により、アセチルコリンの分泌促進、結果として消化管運動の亢進による効果。

統合失調症に対する作用機序は中脳辺縁系等におけるドパミンD2遮断による、ドパミン作用の抑制。他の統合失調症薬も似た作用機序なので、これはわかりやすい。

抗うつ作用が一番わかりにくいかも。本来ドパミンを補うべきと考えてしまうが、ドグマチールを少量で使用すると、ドパミン自己受容体を遮断し、ドパミン不足の状態を作り出して結果としてドパミン分泌を増加させる、といったところ。あってますかね?まぁこれが一番説明しにくい。

ドグマチールの服薬指導の例

正直、統合失調症で使われるケースはそんなに多くない。いても高用量であるとか、他の併用薬から見分けがつきやすい。

問題はうつ病か胃潰瘍で使われるのか見分けがつかない場合。

自分の場合は、「いろいろな疾患に使われる薬ですが、今日は先生はどのような目的で使うと言ってましたか?」という感じで聞くことが多い。

もしくは「ストレスとかで胃の方まで来ちゃってますかね?」とか、やんわり聞く感じ。これで「胃は別に大丈夫」とか返答が来たら、医師はうつの方で処方していることが推測される。「ストレスとかは特にないけど胃の症状が」と返答が来たら胃潰瘍かな。

完全に「はい」と肯定されたら、うつの傾向もあり、胃の症状もあるので医師が処方しているケースもあるので、薬歴には両方の可能性として書いておくのが良いかも。医師の正確な病名はわからないにしても、メンタル系からくる胃の症状に対して使うケースも結構多そうなので、それはそれで正解な気がする。特に食欲低下とかを伴う症例には向いているよう。

あとは、科目がメンタルクリニックとかだったら、あまり突っ込んで聞かないこともありますね。

とにかく避けたいのが、内科とかの処方で「うつ病ですか?」と決めつけてかかること。

「うつ病なんかじゃない!失礼な!」という展開になり得るのでこの点は注意したいところ。

患者さんになんで、うつにも効いて胃にも効くの?と聞かれると少し難しいけど、ドパミンという体の中の物質が胃の働きや脳の働きに関与しており、ドグマチールはこのドパミンの働きを調節する、くらいで説明するようにしています。

これ以上突っ込まれたら、もはや素人じゃない疑惑が出てきますが、その場合は受容体とかの話まで広げて良いかも。

❕付録2:薬剤師クイズ 〜辞めた後の問題〜❕

一年目で辞めてしまった薬剤師へのアンケートで、「退職後に問題になったこと」で最も多かった回答はどれ?

A. 転職先で経験や技術が不足していると感じた
B. 給料が下がった
C. その後も転職を繰り返すようになった
D. 特に問題になることはなかった

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