不眠症治療薬と抗不安薬の一覧と使い分け|ベンゾジアゼピン系を中心とした違いを確認

01 精神

睡眠導入剤や睡眠障害治療薬、抗不安薬に分類されるベンゾジアゼピン系等の薬剤師について、一覧や使い分け、違いなどを確認していきます。

不眠症治療薬の一覧

主な睡眠導入剤、睡眠障害治療薬の一覧です。

バルビツール酸系、ブロモバレリル尿素、クロラール等は最近はあまり使われないので省きました。

分類 一般名・成分名 主な製品名
ベンゾジアゼピン系
超短時間作用型
トリアゾラム ハルシオン
非ベンゾジアゼピン系
超短時間作用型
ゾルピデム マイスリー
ゾピクロン アモバン
エスゾピクロン ルネスタ
ベンゾジアゼピン系
短時間作用型
ブロチゾラム レンドルミン
ロルメタゼパム エバミール、ロラメット
リルマザホン リスミー
ベンゾジアゼピン系
中間作用型
フルニトラゼパム サイレース、ロヒプノール
エスタゾラム ユーロジン
ニトラゼパム ネルボン、ベンザリン
ニメタゼパム エリミン
ベンゾジアゼピン系
長時間作用型
フルラゼパム ダルメート
ハロキサゾラム ソメリン
クアゼパム ドラール
メラトニン受容体作動薬 ラメルテオン ロゼレム
オレキシン受容体拮抗薬 スボレキサント ベルソムラ

抗不安薬の一覧

主な抗不安薬の一覧です。

文献によっては作用時間や力価が入れ替わるものもあるのでご了承ください。

分類 一般名・成分名 主な製品名
ベンゾジアゼピン系
短時間作用 高力価
エチゾラム デパス
ベンゾジアゼピン系
短時間作用 低力価
フルタゾラム コレミナール
クロチアゼパム リーゼ
ベンゾジアゼピン系
中期作用 高力価
ロラゼパム ワイパックス
アルプラゾラム コンスタン、ソラナックス
ベンゾジアゼピン系
中期作用 中力価
ブロマゼパム レキソタン、セニラン
ベンゾジアゼピン系
長時間作用 高力価
フルジアゼパム エリスパン
クロナゼパム ランドセン、リボトリール
ベンゾジアゼピン系
長時間作用 中力価
クロキサゾラム セパゾン
ジアゼパム セルシン、ホリゾン
ベンゾジアゼピン系
長時間作用 低力価
クロラゼプ メンドン
クロルジアゼポキシド コントール、バランス
メダゼパム レスミット
ベンゾジアゼピン系
超長時間作用 高力価
ロフラゼプ メイラックス
メキサゾラム メレックス
フルトプラゼパム レスタス
ベンゾジアゼピン系
超長時間作用 低力価
オキサゾラム セレナール
セロトニン作動薬 タンドスピロン セディール
抗ヒスタミン薬 ヒドロキシジン アタラックス

不眠症治療薬と抗不安薬の違い

同じベンゾジアゼピン系でも睡眠障害にメインで使われるものと、抗不安にメインで使われるものとに別れる。

この違いはベンゾジアゼピン系受容体のサブタイプに対する親和性の違いであり、ω1の方が鎮静や睡眠、ω2の方が抗不安や筋弛緩の作用を持つ。

不眠症治療薬はω1に作用する比率が高く、抗不安薬はω2に作用する比率が高いと理解するのがしっくりくる。

不眠症治療薬の違いと使い分け

ベンゾジアゼピン系と非ベンゾジアゼピン系は、基本は作用時間での使い分け。

入眠障害には超短時間か短時間、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害には中間から長時間。

超短時間型では非ベンゾジアゼピン系のゾルピデムやゾピクロンはω2への作用がほとんどないため、筋弛緩作用や抗不安作用が不要な場合は向いている。正直マイスリーとアモバン・ルネスタの使い分けは好みの部分も大きい気がする。ベンゾジアゼピン系のトリアゾラムは抗不安が結構ある。

短時間型ではリルザマホン(リスミー)は最近あまりみない。ブロチゾラム(レンドルミン)とロルメタゼパム(エバミール・ロラメット)はブロチゾラムの方がよく使われるが、ロルメタゼパムはグルコロン酸抱合で直接胆汁に排泄されるので、肝障害をもつような高齢者にも使いやすい。

中間作用型はニメタゼパム(エリミン)はあまり使わない気がする。他はそこそこ処方を見る。フルニトラゼパム(サイレース・ロヒプノール)、エスタゾラム(ユーロジン)、ニトラゼパム(ネルボン・ベンザリン)の中では、フルニトラゼパムは短時間型に分類されることもあるくらいなので、作用発現が早いイメージ。エスタゾラムは緑内障に禁忌じゃないのが特徴。

長時間作用型はクアゼパムが一番使われている気がする。空腹時使用に注意。

ロゼレム、ベルソムラは新しい機序のためベンゾジアゼピンが使えなかったり、耐性がある、習慣性がある、もしくはそれらを防ぎたい時などに使う。最近は結構第一選択もみる。

ロゼレムは入眠障害、ベルソムラは睡眠障害全般に使われるイメージ。

抗不安薬の違いと使い分け

抗不安薬もベンゾジアゼピン系の中では、基本は作用時間での使い分け。ここにさらに力価の概念も加わる。一部は催眠作用に期待して使われることもある。

短時間作用型ではエチゾラム(デパス)が一番使われている。催眠作用目的での処方も多い。フルタゾラム(コレミナール)は適応に「過敏性腸症候群、慢性胃炎」の身体症候も明記されているためか、内科でも処方を見ることがある。クロチアゼパム(リーゼ)は低力価のためか、医師側もやや気軽に処方している印象あり。

中期作用では、ロラゼパム(ワイパックス)、アルプラゾラム(コンスタン・ソラナックス)が高力価。この二つはそこまで使いわけが明確でないと思うが、アルプラゾラムは睡眠障害に対しても適応が明記されている。中力価のブロマゼパム(レキソタン、セニラン)もよく使われる。特徴とまでは行かないかもだが、適応にうつ病における不安・緊張が明記されている。

長時間作用型は最近はあまり主流ではない感じ。これ使うなら超長時間型のメイラックス使っているケースが多い。強いて挙げるとクロナゼパム(ランドセン、リボトリール)はまだ使われるが、どちらかというとてんかん薬の面が多い。あとはジアゼパム(セルシン、ホリゾン)の離脱症状を起こしにくい点は知っておいて良いと思う。

超長時間型は圧倒的にロフラゼプ酸エチル(メイラックス)が使われる。フルトプラゼパム(レスタス)の方が強いとも言われているが、あまり強い・弱いで切り替えている感じはない。メキサゾラム(メレックス)とオキサゾラム(セレナール)は長時間型に分類されることもある。

ちなみにベンゾジアゼピン系の適応で、心身症は器質的な障害を伴った疾患で神経症(不安・緊張・抑うつなど)と区別されている。

ベンゾジアゼピン系以外ではタンドスピロン(セディール)は知ってて良い。セロトニン作動によって抗不安効果。ベンゾジアゼピン系の副作用の心配はないが、効果もはっきりしたものではなく、実感まで時間がかかることが多い。

あとはアタラックスも知ってて良いかも。作用機序は抗ヒスタミン。

 

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