サインバルタ(デュロキセチン)の腰痛などの痛みに対する作用機序と注意するべき点|ハイリスク算定の可否など

01 精神

近年、整形領域などで処方が増えているサインバルタ(デュロキセチン)について、痛みに対する作用機序や注意点などについて確認していきます。

サインバルタの腰痛などの痛みに対する作用機序

サインバルタ(成分名:デュロキセチン)は、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)に分類される薬剤であり、主な使用は抗うつ薬ですが、近年は整形などの領域でも、痛み等に使用が増えてきていますね。

サインバルタの現在の適応は以下の通りです。

○うつ病・うつ状態

○下記疾患に伴う疼痛
糖尿病性神経障害
線維筋痛症
慢性腰痛症
変形性関節症

サインバルタカプセル 添付文書

この疼痛に対する作用機序は、「脳及び脊髄における下行性疼痛抑制系を賦活化し、鎮痛効果を示す」とのこと(日本イーライリリー株式会社 製品Q&A)。

いまいちわかりにくいので、掘り下げてみると、痛みの感覚が以下の様な流れになる。

痛み→一次ニューロン(末梢感覚神経)→二次ニューロン(脊髄視床路)→三次ニューロン(脳)

ここで脊髄後角の二次ニューロンの手前のところで、痛みのレベルが適切に保たれるよう調節を受けている。この調整をしているのが下行性疼痛抑制系であり、サインバルタはここを活性化するため、疼痛に効果がある、といった感じ。

下行性疼痛抑制系はセロトニン、ノルアドレナリンによって賦活されるためですね。

インタビューフォームの作用機序が詳しいですね(サインバルタ インタビューフォーム)。

患者さんに説明するには、脊髄において痛みの感覚を抑える役割を果たす、、、くらいが丁度良いでしょうか。

リリカなども下行性疼痛抑制系などの関与が示唆されていますが、メインはCaチャネル作用によるCaの流入抑制という印象。なので、リリカ無効でも効果がある可能性はある。

しかし、このような作用機序だと、トレドミン(ミルナシプラン)とイフェクサー(ベンラファキシン)も同じ効果がありそうな気がする。今後、適応をとるのか。。。たぶん、トレドミンは可能性が低い気がする。SNRIの中でも効果もマイルドと言われているし。イフェクサーはまだ新し目だし可能性はあるか。。。

サインバルタは痛みに使用するときハイリスク加算は取らない

当然ですがサインバルタを疼痛目的で使うときはハイリスク加算(特定薬剤管理指導加算)は算定できません。

サインバルタがハイリスクを算定できるケースは、精神神経用剤として使用された場合(薬価基準コード「117」として)です。

したがって、整形で処方されているようなケースはまず取れないと思った方が良いでしょう。当然、患者さんにも確認が必要ですが、メンタル系の医師は、患者さんい深く聞かない様にしてほしいという要望を持つ医師も多いため、さじ加減が難しいところです。

判断が難しい場合には、ハイリスクは取らない方が安全かもしれません。

サインバルタの注意点

サインバルタの注意点としてまず挙げられるのが用法です。

サインバルタは適応にかかわらず、用法は1日1回朝食後です。

ただし、添付文書の食事の影響の項目をみると、空腹時でも動態の変化はあまり大きくない様子。

こちらもイーライリリーのサイトで少し解説がありますが、要は臨床試験が1日1回朝食後でしかやってないからとのこと(日本イーライリリー株式会社 製品Q&A)。

なので、もし朝食後以外の用法できても絶対に疑義が必要かと言われるとそうでもないかも。朝食後以外の処方もたまに見かけます。

ただ、1日2回できたら、、、自分の場合は、一回は確認しちゃうかもしれません。今のところ1日2回は見たことないです。

他の注意点として、出血傾向の可能性と、傾眠・不眠両方の可能性がある点です。

血小板は出血部位でセロトニンを放出するが、SNRIなどのセロトニン再取り込み阻害作用でその放出が抑制されるため、出血傾向の可能性があること。ワーファリンなどを使っているケースでは特に注意が必要と言えるでしょう。

また、傾眠と不眠両方の副作用が比較的高頻度で報告されていることも注意点の一つです。どちらか片方だけの説明をすると、サインバルタの副作用と気づかない可能性もあるため、説明の方法には注意が必要ですね。

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