漢方薬でたまに見る食後処方について、レセプトや個別指導などを確認していきます。
漢方薬で食後の処方が来た場合は疑義照会する?
結論としては用法の範囲外なので疑義照会するのが正解と言えるでしょう。
ツムラの葛根湯を例にすると、用法用量は以下の通りです(添付文書:ツムラ葛根湯エキス顆粒(医療用))。
用法及び用量
通常、成人1日7.5gを2〜3回に分割し、食前又は食間に経口投与する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。
上記の通り、少なくとも添付文書上では、何の理由もなく食後処方がOKとはならなそうです。
基本は疑義照会するものと思ったほうが良さそうですね。
ただ、現実問題としては、必ず食後で出してくる医師もしくは病院単位で食後処方に統一しているケース、患者さんによっては食後にしているケースなどが多々あります。
原則論としては疑義照会するものとし、個々の対応はある程度は薬局のしきたりに従うのが現実的でしょうか。
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レセプトで返戻が来るケースはあまりない?
漢方の食後処方でレセプトが切られる、返戻が来るケースはあるのか。
個人的には、返戻が来たといったことを耳にすることはあまりありません。自分としても漢方の食後処方で返戻の経験はないです。
正直、現実的には漢方の食後処方は割とありふれており、レセプトに関してはそこまでナーバスになる必要もないかもしれません。
学術的な話でも効果が大きく変わってくる可能性もあまり高くないため、過度な対応は必要ないかもしれません。
ただし、個人的に注意している点として、あまり馴染みのない病院・クリニックから食後処方で来た場合や、普段は食前処方の医師が食後で処方してきたケースなどはやはり疑義照会をするようにしています。
また、食後処方が継続している患者さんや、必ず食後処方にすると知っている医師の処方箋でも、レセプトコメントして「漢方薬の食後処方を医師に確認済み」といったコメントを入れ、薬歴にも食後処方を確認している旨を残しています。その他、胃の負担軽減などの目的がある場合は当然その旨も記録として残してます。
漢方の食後処方に関しても、今後はレセプトが厳しくなっていく可能性もなくはないため、対策はしておくに越したことはないでしょう。
薬剤師側が用法用量の範囲外である旨を意識しており、何らかのアクションをとっている記録を残しておくのが安全と言えそうですね。
個別指導では指摘されている例も
続いて個別指導に関してです。
個人的な経験では、個別指導で漢方の食後処方に関して細かい指摘を受けた経験はありません。
食後処方のケースでは、基本的に疑義照会をしており、薬歴にも医師の指示があった旨を記載、レセプトのコメントなども入れており、これらが功を奏している?のかもです。
ただし、公表されている指摘事項の中には、漢方薬の食後処方も取り上げられています。
九州厚生局の「平成22年度に実施した個別指導において保険薬局に改善を求めた主な指摘事項」では、「薬事法による承認内容と異なる用法及び用量で処方されている例」として「漢方薬の食後処方」が挙げられています。
この点から、やはり漢方薬の食後処方に対しても何もアクションを起こさなければ個別指導の対象になり得ると読み取れます。
このような点からも、やはり漢方の食後処方は基本的に用法用量の逸脱という認識は持っておいたほうが良いですね。
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