併用注意の組み合わせは疑義照会をかけるべきか

01 薬剤師実務

薬剤師なら誰もが一度は迷うのではないでしょうか。個人的見解をまとめました。

併用注意の定義の確認

そもそもですが、併用注意ってなんでしょうというところから。

添付文書において、「効能効果」や「用法用量」と同レベルの項目に「使用上の注意」があります。

この「使用上の注意」の中に「慎重投与」や、「副作用」、「高齢者の投与」、そして「相互作用」などの項目があります。

「併用注意」は、この「相互作用」の項目の中の一つであり、同レベルの項目には「併用禁忌」や「原則併用禁忌」があります。

添付文書

■警告

■禁忌

■組成・性状

■効能効果

■用法用量

■使用上の注意

慎重投与
重要な基本的注意
相互作用
併用禁忌
 併用注意
副作用
高齢者への投与
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
小児等への投与

■薬物動態

■臨床成績

以下、省略

相互作用は、医療用医薬品の添付文書等の記載要領において、「他の医薬品を併用することにより、当該医薬品又は併用薬の薬理作用の増強又は減弱、副作用の増強、新しい副作用の出現又は原疾患の増悪等が生じる場合で、臨床上注意を要する組合せを記載すること。これには物理療法、飲食物等との相互作用についても重要なものを含むものであること」と定義されています。

併用注意は、相互作用の中でも併用禁忌には該当しないものの注意が必要な組み合わせとなります。

❕付録1:薬剤師クイズ 〜新人薬剤師の退職理由〜❕

一年目で辞めてしまった薬剤師にアンケートを実施した結果、退職理由で最も多かったものはどれ?

A. 勤務時間やシフトの不満
B. 業務内容の不満
C. 人間関係の不満
D. 給与面の不満

併用注意は疑義照会が必要か

結論としては、併用注意の組み合わせに対し逐一疑義照会をかける必要ないでしょう。

というか、現実的に件数が多すぎて無理というのが実際のところではないでしょうか。

とはいえ、機械的に併用注意は疑義照会必要なし、禁忌ならかける、というふうに一般化する対応も正解とは言えないと思います。

例えば、抗菌剤のクラビットなんかを例に挙げると、酸化マグネシウムとの飲み合わせは併用注意に該当します。キレート形成の可能性から、服用時間を1〜2時間ずらすことが推奨されています。

酸化マグネシウムが1日2回朝夕、クラビットが1日1回夕食後 などで処方があった場合、例えばクラビットを昼食後にしてもらう提案などは疑義照会としてして良いのではないかと思います。結果的に用法が変わらなくても、医師から酸化マグネシウムの時間を少しずらすようになどの指示があるケースもあります。

また、クラビットはワーファリンとも併用注意であり、プロトロンビン時間の延長の可能性があります。PT-INRの管理で苦労した患者さんなどの場合は、念のため、医師にも再度確認しても良いでしょう。

そして、有名なところですがクラビットはNSAIDsとの痙攣誘発の可能性から併用注意となっています。近年の報告では、クラビットはNSAIDsとの併用で痙攣のリスクを上昇させないという報告もいくつかありますが、ロキソニンなどは併用注意の注意喚起は現在も記載されています。

普段から処方箋を受領するクリニックの医師が、いつもはカロナールを選択しているところ、今回はロキソニンを一緒に処方しているなどのケースでは、念のため疑義照会をしても良いと考えられるケースです。問い合わせた結果、カロナールに変わったということも経験があります。

このように、一律に疑義をかける、かけないではなく、個別に判断して対応していくのが薬剤師の役割であり、また、薬剤師でしかこのようなことはできないと言える点です。

併用注意を全て把握するのは不可能だけど重要なところは見逃さないように

正直、併用注意を全て覚えるのは不可能だと思いますし、そんな薬剤師さんはまずいないでしょう。

ただし、相互作用の中でも併用禁忌、原則併用禁忌は、よく調剤する薬であれば全て把握しているべきだと思います。

そして、併用注意に関しても、全て把握するのは難しくても、ある程度の法則的なところ(キノロンとNSAIDs等)は把握しておくべきでしょう。

そして、特別な背景を有する患者さん、例えば副作用歴があったり、アレルギーを持っている患者さん、腎機能・肝機能が低下している場合など、背景を考慮した上で、併用注意の組み合わせで特に注意が必要となる場合は、医師に疑義照会できるような知識を身につけておくのがベストでしょう。

❕付録2:薬剤師クイズ 〜辞めた後の問題〜❕

一年目で辞めてしまった薬剤師へのアンケートで、「退職後に問題になったこと」で最も多かった回答はどれ?

A. 転職先で経験や技術が不足していると感じた
B. 給料が下がった
C. その後も転職を繰り返すようになった
D. 特に問題になることはなかった

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