中央社会保険医療協議会(中医協)総会にて、薬剤師の資格取得後に臨床医並みの薬剤師教育が必要という意見が出たようです。
医療機関勤務の義務化|話の経緯
2019年7月10日に開催された中央社会保険医療協議会(中医協)総会で、日本医師会常任理事の松本吉郎氏による発言。
「医療機関の薬剤師不足は深刻。薬局が訪問薬剤指導を行うことを前提とするならば、薬剤師には国家資格取得後の医療機関での勤務、研修を義務化するなど臨床医並みの薬剤師教育の進化が必要であると思う」との発言。
この発言の前には、「大病院が地域へ患者を戻すことに一層取り組むことを前提としつつ、まず薬局の数と偏在の是正が必要と考えている。過度に営利化された調剤薬局チェーンが浸透してしまったので、非営利の医療機関との連携が難しくなっている」という発言もあった。
基本的には医師側の立場の発言になるが、特に反論もなかった様子で、この内容が実現する可能性も十分ありそうな感じです。
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B. 業務内容の不満
C. 人間関係の不満
D. 給与面の不満
医療機関勤務が義務化されたらどうなる?
実際に薬剤師が資格取得後に医療機関勤務が義務化された場合、どのような影響がでるのでしょうか。
まず、調剤薬局は新卒薬剤を雇うことができなくなります。
調剤薬局側は今まで以上に人手不足の状況を招く可能性があります。研修を終えた薬剤師の取り合い、囲い込みが予想されますね。実現したら結構混乱が起きそうです。
そして、病院側・医療機関側は多くの研修薬剤師・レジデントを抱えることになります。
病院側・医療機関側は上手くすれば、低賃金の研修薬剤師・レジデントを活用することができますが、対策をしないと手をわずらわすだけの研修薬剤師・レジデントの面倒を見なければならないという状況にもなりえます。こちらも実現した段階で混乱を引き起こしそうです。
今の薬局薬剤師はどうなるのか
今すでに働いている薬剤師が、医療機関に行って研修しなおすというのは現実的ではありません。
おそらく今まで通りの環境で働けるでしょう。しかし、何かしらの研修やeラーニングをどっかで受けることが義務化される、などの措置は取られるかもしれません。
そして、今の薬局薬剤師の雇用はどうなるでしょうか。
薬剤師で働き始めるハードルが上がるため、薬局薬剤師は売り手市場が続くかもしれません。
しかし、医療機関研修を終えた薬剤師が本格的に世の中で働き始めるようになると、皆幅広い多くの経験を持っているため、既存の勉強不足の薬剤師は淘汰されるようになるかもしれません。
いずれにしても実際に今回の発言内容が、実現するかは現時点では不明ですが、薬剤師の医療従事者としてのポジションを動かしかねない話題なので、今後も注視していく必要がありそうです。
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