新規の不眠症治療薬のベルソムラについて服薬指導のポイント等についてまとめました。
ベルソムラの特徴と作用機序
最近よく処方されはじめているベルソムラ。使用している患者さんの話を聞いていると、合う人には合うようですね。
作用機序は、覚醒作用のある神経ペプチドのオレキシン受容体をブロックして、オレキシンの作用を抑制し、覚醒を防ぐというもの。
作用機序を聞くとなんか効きそうな気がする。。。
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ベルソムラの注意したい点
個人的には、意外と落とし穴がある薬だと思っています。
まずは何と言ってもクラリスロマイシンと併用禁忌。印象として、Dr.も結構意識してないケースがある気がします。同一処方内でベルソムラとクラリスがあったりとか。。。禁忌の理由として、CYP3A阻害によるベルソムラ作用の増強。当然、他科・他院同士での飲み合わせでも注意が必要。クラリスは風邪レベルで出るケースも多く、ベルソムラ側は以前からの継続でっていうケースも多いかと思われます。
そして同様の理由でイトリゾールなどとも併用禁忌。クラリスはないので大丈夫!と思ったところで、イトリゾールなどの意外なCYP3A阻害薬の併用もあったりするので注意が必要。
併用薬以外では、食事の影響に注意が必要。食後だと、Tmaxが延長するため、効果発現が遅くなると考えられる。Cmaxも少し高くなる模様。しかし、効果発現の遅れは安全性に影響が及ぶということでもないので、個人的には致命的なことではない気がする。Cmaxの上がり幅もそこまでではなさそう。併用禁忌よりは危険度は高くない。
ベルソムラの服薬指導をまとめると
ベルソムラの服薬指導内容をまとめると、
脳内で覚醒作用ある物質を抑制し、眠気を起こす薬です、寝る前の空腹時に使用する、食後だと効果が出るのが遅くなる可能性がある、飲み合わせが悪い薬が何種類かあり、風邪などで比較的よく出る抗生物質が1種類含まれる、他院にかかるときはベルソムラ使っていることを伝えてください、くらいでしょうか。
患者さんからよく聞かれること
ベルソムラについてよく聞かれることをまとめてみました。
ベルソムラは睡眠導入剤なの?
睡眠導入剤ではない。添付文書の用語は不眠症治療薬。
ただ、入眠短縮もなくはないため、導入としての一定の役割も果たすと考えられる。機序的には睡眠維持としての役割の方が高そう。
患者さんには、睡眠導入の役割も持っているくらいに伝えるのが良さそう。
ベルソムラは依存症はないの?
現時点では依存傾向は少ないとされている。ただないとは言い切れないと思うので、従来の薬よりはそうゆう傾向が少ないと言われている、くらいに伝えるのが良さそう。
アルコールと一緒に飲んで良い?
まぁダメでしょうね。区分としては、併用注意ですが、「本剤を服用時に飲酒は避けさせること」と注意喚起あり。中枢神経系を抑制する、とありますが、ダメということはハッキリ伝えた方が良いでしょう。もしお酒を飲んでしまった場合は、その日はベルソムラ使わないようにしてもらうのが良いでしょう。
ベルソムラは強い薬なの?
何を基準にという話ですが、たいていの人は従来のベンゾジアゼピン系とかに比較して、という意味だと思う。
回答としては、従来の薬と作用の仕方が異なるため、比較できない、臨床試験ではしっかり効果が確認されているのでまずは試してみて、といったところでしょうか。
薬の強さを聞いてくる人は、強い薬は使いたくないというパターンと、強い薬じゃないと効果が期待できないというパターン両方あるため、ベルソムラに限らず、相手がどのような回答を求めているか、想像しながら注意して回答する必要がありますね。
ベルソムラは副作用はあるの?
もちろんあるけど、そんなに強い副作用はない、といった感じ。
添付文書ベースなら、傾眠、頭痛、疲労などといったところなので、眠気が残ったり、頭痛、疲労感がたまに出ることがあるが、高い頻度ではない、くらいを伝えるのが良さそう。
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