高血圧の患者さんに対する服薬指導のうち、生活習慣の見直しについてまとめてみました。
食塩の制限
食生活で効果的なのがやはり食塩の摂取制限でしょう。1日6g未満が推奨されてますが、正直これはかなり難しい。日本は平均10g/日をこえているため、普通に食事していたのではまず難しいでしょう。
単に6g未満にと言っても患者さんには伝わらないだろうから、日本高血圧学会減塩委員会のレシピが参考になる点や、そもそもNa表記の2.5倍が食塩量になるなどのことを指導した方が良い気がする。あとは、食塩の制限というと塩を減らすことを意識しがちだが、日本での食塩摂取量のうち、90%はしょうゆ、みそを含む加工食品からの摂取とのことなので、しょうゆ、みそを減らすことを注意喚起する方が効果的かもですね。
❕付録1:薬剤師クイズ 〜新人薬剤師の退職理由〜❕
一年目で辞めてしまった薬剤師にアンケートを実施した結果、退職理由で最も多かったものはどれ?
A. 勤務時間やシフトの不満
B. 業務内容の不満
C. 人間関係の不満
D. 給与面の不満
食塩以外の栄養素、食品
食塩摂取の血圧上昇に対してカリウムの拮抗作用が有効性が高いとのこと。カイルムを多く含む野菜、果物が勧められるが、腎障害を持っている場合は高K血症のリスクがあるため注意。厚生労働省・農林水産省決定の食事バランスガイドが参考になるとのこと。
魚油に含まれるn-3多価不飽和脂肪酸の摂取も血圧が低くなるよう。
適正体重の維持、運動
肥満は高血圧の重要な発症要因であり、4kgの減量で-4.5/-3.2mmHgの降圧が報告されている。具体的なkgとmmHgの値がわかると、やる気も出るかもですね。
体重管理に重要なのが運動で、有酸素運動の降圧効果は確立されている。推奨されているのは有酸素運動で、強すぎる運動は運動中の血圧上昇のリスクもあるため、注意が必要。実際に患者さんに進めるとしたら、ランニングや歩行、水泳あたりが無難でしょうか。
節酒・禁煙
お酒は少量だとむしろ血圧低下につながるという報告もあるからやっかい。また、大量飲酒者が急激な節酒をすると血圧上昇をきたすこともあるよう。なので、指導が難しい。長期や大量だと結局は血圧上昇につながるから、長期的な効果を考慮する必要があることを説明する必要があるのかも。まぁ、絶対飲んじゃダメというわけではなく、量と頻度を少し控えましょうくらいを指導するのが無難でしょうか。
禁煙も指導が難しい。禁煙したら体重が増え、血圧が上昇したという報告もあるため、実際には禁煙後の食生活が原因だとしても、指導には注意が必要かも。高血圧が問題なのではなく、その後にある心血管イベントの予防が重要であることを考えれば、間違いなく禁煙は重要であるという点を理解してもらうのが良いでしょうかね。
その他の生活習慣
睡眠時間やストレスも関係あるようですね。あとは入浴の温度。
まぁ睡眠時間やストレスは、管理できるならとっくにやっていると言われそうですが、入浴の温度はすぐに実践できますね。38-42°Cくらいで5-10分くらいが目安。冷水浴やサウナは避ける。
あとは冬の血圧上昇は防寒で対策。トイレや浴室、脱衣所とかも対策した方が良い。
参考文献
高血圧治療ガイドライン2014[JSH2014](日本高血圧学会)
コメント