花粉症やアレルギー症状に使われるビラノアについて、服薬指導のポイント、特に空腹時の使用についてまとめました。
ビラノアの特徴は眠くならないけど効果も強い
ビラノアの特徴は眠くならないけど効果も結構強い。
これに尽きるでしょう。患者さんからしたら眠くなるかならないかと効果の強さは大きなポイントですね。
眠気に関しては、従来の抗ヒスタミン薬で注意喚起されていた自動車運転等について、添付文書にも記載がなく、自動車運転能はプラセボと比較しても有意差なしとの記載があります。
ちなみに眠気の頻度は0.6%、治験で675例中4例のみとの結果です。これはもう眠くならないと言い切って良いレベルですかね。
そしてもう一つの特徴である効果の強さについては、インタビューフォームでの基礎実験結果など見ると、セチリジンとフェキソフェナジンとよく比べているが、フェキソフェナジンよりは効果が強そうで、セチリジンとはそこまで変わらない印象です。セチリジンクラスであれば結構効果強い方ですね。
従来は眠くならない抗アレルギー薬(アレグラ、クラリチン)は強さもイマイチという概念をデザレックスとともに覆す薬の一つと言えるでしょう。
ちなみにデザレックスとビラノアでは、皮膚症状に対してはビラノアの方が強く効くことが示唆されています(Curr Med Res Opin. 2017 Jan;33(1):129-136. Epub 2016 Oct 21.)。
ちなみに2019年シーズンは残念ながらデザレックスが自主回収中とのことで、ビラノアの躍進が期待されます。
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ビラノアの欠点は空腹時の使用か
ビラノアの欠点といえるのがその用法ですね。
必ず空腹時使用です。
空腹時の理由は、食事の影響が大きく、食後だと空腹時に比べCmax及びAUC0-tはそれぞれ約60%及び約40%低下、という結果が確認されています。
まぁここまで低下すると効果にも影響ありそうですね。
ちなみに空腹時の具体的な時間として、患者指導せんでは「食事の1時間前から2時間後までを避ける」と注意喚起されています。
ビラノアの服薬指導のポイント
前述の点を含めたビラノアの服薬指導。
アレルギー症状に効く薬。
眠くならない。
1日1回、1回1錠を空腹時に使用。具体的には食事の1時間前から2時間後までを避けて使用する。増減の幅は今のところなし。1錠以外は疑義の対象か。
併用注意はエリスロマイシンとジルチアゼム(ヘルベッサー)。ビラノアの血中濃度上昇の可能性。正直、そこまで気にしなくても良さそう。
禁忌は過去にビラノアでの過敏症が出た場合のみ。実質禁忌なし。
妊婦授乳婦はいつもの注意喚起文あり(妊婦は有益性、授乳婦は授乳避ける)。機序的にまず問題ない気がするが、他に選択肢が結構あるのでリスクはとらない方が良い気がする。
成人のみの用法設定。15歳未満は基本的に使用しない方が無難。
大した副作用なし。複数報告されているのは眠気、口渇、頭痛。重大な副作用は今のところなし。
ビラノアと他の抗ヒスタミン薬との比較|デザレックス、ルパフィン、ザイザル
デザレックスはビラノアと同時期に発売されたので結構比較されがち。前述の通り、皮膚系ではビラノアの方が効果が強そうだが、アレルギー性鼻炎ではさほど差がないか。自動車運転の注意喚起がないのは共通。用法は制限がないデザレックスに分があり。ビラノアの成人のみに対し、デザレックスは12歳以上で使える。
ルパフィンも新し目なのでビラノアとよく比較される。効果の強さは抗ヒスタミン作用に+αの抗PAF作用を持つルパフィンの方が分がありそうだが、ビラノアの方が強いという文献もちょいちょい見る。たぶん両方それなりに強い。ルパフィンは結構眠気出る印象。用法はルパフィンの方が制限なく使いやすい。ルパフィンは12歳以上で使える。
ザイザルもビラノアとよく比較される。効果の強さはさほど変わらないか。ザイザルは多少眠気でる印象。ザイザルは寝る前指定、用法の使いやすさは人によりけりか。年齢の適用の広さは圧倒的にザイザル。シロップ含めると0歳からザイザルは使える。
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