抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬の使い分けと服薬指導|患者さんにどう説明する?

11 抗炎症・アレルギー

花粉症や蕁麻疹等で使用される第二世代の抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬について、使い分けや服薬指導のポイントをまとめてみました。

第二世代の主な抗ヒスタミン薬一覧

第二世代の抗ヒスタミン薬は抗アレルギー薬とも言われますね。近年よく使われる第二世代の主な抗ヒスタミン薬は以下の通り。

一般名(成分名) 主な製品名
フェキソフェナジン アレグラ
ロラタジン クラリチン
デスロラタジン デザレックス
エピナスチン アレジオン
エバスチン エバステル
ベポタスチン タリオン
セチリジン ジルテック
レボセチリジン ザイザル
オロパタジン アレロック
ビラスチン ビラノア
ルパタジン ルパフィン

第二世代の中でも少し古いものでアゼラスチン(アゼプチン)、メキタジン(ゼスラン・ニポラジン)、オキサトミド(セルテクト)、ケトチフェン(ザイザル)、エメダスチン(ダレン、レミカット)とかありますが、近年はメインは上記の表のものが多いかと思います。また、番外編としてエメダスチンを含むアレサガテープ、フェキソフェナジンと塩酸プソイドエフェドリンを含むディレグラもありますが、今回は外しておきます。

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一年目で辞めてしまった薬剤師にアンケートを実施した結果、退職理由で最も多かったものはどれ?

A. 勤務時間やシフトの不満
B. 業務内容の不満
C. 人間関係の不満
D. 給与面の不満

第二世代の主な抗ヒスタミン薬の強さと眠気

使い分けの要素は抗アレルギー作用の強さと眠気のでやすさ。あとは用法での使いやすさ。この辺を考慮して医師がつか分けている感じですかね。

他のサイトでもよくある、眠気軸と強さ軸の表を作ってみました。他のサイトとちょっと違うところあるかも。

効果:弱 効果:中 効果:強
眠気:強 ジルテック
アレロック
ルパフィン
眠気:中 タリオン
アレジオン
エバステル
ザイザル
眠気:弱 アレグラ
クラリチン
デザレックス ビラノア

結構迷ったのがルパフィン。一番新しく使用成績も多くないと思いますが、結構眠気が出るという話を聞きます。ただ、効果もなかなかという話。

宮崎県病院薬剤師会のサイトで、「ルパフィン錠と類薬との比較」というトピックがあったので参考にさせてもらいました。

DIトピックス ルパフィン錠と類薬との比較

これ見ると効果も眠気のなかなかという感じ。ちなみにこの資料だとビラノアとデザレックスだとデザレックスの方が効果高いですね。。。早速上の表と矛盾が。。。

まぁ個人的な評価も参考程度にしてください。確かにビラノアはもう一段階弱いところにおくのが正しいのかも。ここも迷いました。

第二世代の主な抗ヒスタミン薬の使い分け

では、抗ヒスタミン薬の使い分けについて。ここも個人的な見解を含むので参考程度で。

医師の好き嫌いも当然入ってきます。ただ、患者さんになんでこの薬なの?とか聞かれた場合とかに医師の好みです!と答えるわけにもいかないと思いますので、以下の内容とか参考になる部分があれば活用いただいて、患者さんに納得いただける理由を説明していただければと思います。

眠気がNGの場合

眠気NGならアレグラ、クラリチン、デザレックス、ビラノアは添付文書に自動車運転等の注意喚起なし。なのでこの4つが第一候補。

ただし、デザレックスは2019年シーズンは全ロット回収が入ったため、2019年花粉症シーズンは中は戦力外になりそう。従って実質3剤。

アレグラは分2、クラリチンは分1で食後使用。まずはこの2種類で選択。1回がよければクラリチン、2回でもよければブランド力のあるアレグラ。煩わしいから1回のほうが良いのではと自分は思うが、意外と1日2回使うことができるのがメリットと感じる医師や患者さんも多い印象。その場合はアレグラ。あとは食後に使いたくない場合もアレグラですかね。そんな人あんまりいないだろうけど。

これで効果が弱いと感じる場合はビラノア。ただし空腹時使用。具体的には食前1時間から食後2時間を避ける。結構面倒という意見を患者さんからも聞きます。まぁ効果との兼ね合いですね。

続いて眠気が絶対NGというわけではないよ、という場合

正直、アレジオン、エバステル、ジルテックあたりは最近はあまり第一選択という感じはない。昔からの継続の人が使っている感じですかね。ただし、アレジオンは気管支喘息にも適応があります。

というわけで一線級なのはタリオン、アレロック、ザイザルでしょうか。タリオン、アレロックは分2、ザイザルは分1ですね。タリオンで様子見て危機が悪ければアレロック、分1がよければザイザルという感じですかね。症状ひどい場合はいきなりアレロックから行く処方も結構みる。まぁアレロック単独でダメでもポララミンとかセレスタミン噛ませる手段もありますしね。。。いきなりアレロックでもさらに奥の手はあるということです。

ルパフィンは抗PAF作用が売りのひとつですが、まだ全貌が明らかになってない感じ。今のところは、色々使ってダメならルパフィンを試すという印象です。

第二世代の主な抗ヒスタミン薬の服薬指導

最後に個別の薬剤について服薬指導のポイントを簡単にまとめてみました。

アレグラ(フェキソフェナジン)

鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患に適応。

1日2回、食後・空腹時等の指定なし。

小児適応あり。

自動車運転等の注意喚起なし。

2000年発売

もっともよく使われている抗ヒスタミン薬の一つ。眠気が出にくいものといえばアレグラ。

クラリチン(ロラタジン)

鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患に適応。

1日1回食後に使用。

小児適応あり。

自動車運転等の注意喚起なし。

2002年発売

アレグラと同様、眠気を避けたい人に市民権を得ている。効果の強さはアレグラ同様、控えめ。用法が食後指定なので、就寝前とかで処方されたら一応、疑義をかける方が無難。

デザレックス(デスロラタジン)

鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患に適応。

1日1回、食後・空腹時等の指定なし。

12歳以上の小児適応あり。

自動車運転等の注意喚起なし。

2016年発売

クラリチンの改良版、活性代謝物。眠くならないのはそのまま、効果は強く、しかも薬価はクラリチンより安い。いいとこ取り。だけど回収入ったので2019年花粉症シーズンは戦力外。残念。

アレジオン(エピナスチン)

鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患の他、乾癬や気管支喘息にも適応あり。

1日1回、食後・空腹時等の指定なし。

小児適応あり。

自動車運転等の注意。

1994年発売。

発売当初ほどは処方されなくなっているが、継続している人は結構いる印象。乾癬とか喘息にも適応あるのでその辺りで差別化されることがある。運転等の注意喚起あるけど、ほとんど眠気はない印象。

エバステル(エバスチン)

鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患に適応。

1日1回、食後・空腹時等の指定なし。

小児の用法用量は記載ないが、小児等への投与で注意喚起があるのは幼児まで。使用成績調査の結果に小児の使用例あり。

自動車運転等の注意。

1996年発売

正直、特徴が少ない。。。あれジオンみたいに独自の適応もない。小児に使いやすいとかもない。でも継続で使っている人はいる。

タリオン(ベポタスチン)

鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患に適応。

1日2回、食後・空腹時等の指定なし。

7歳以上の小児適応あり。

自動車運転等の注意。

2000年発売

実は一番出ている?抗ヒスタミン薬。強さと眠気の出にくさのバランスが良い印象。

ジルテック(セチリジン)

鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患に適応。

1日1回就寝前、小児は1日2回朝食後・就寝前。

小児適応あり。

自動車運転等の注意。

1998年発売

ザイザルでてからあまり使われなくなった印象。用法は就寝前、もしくは朝食後・就寝前。夕食後などででている場合は疑義した方が無難。

ザイザル(レボセチリジン)

鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患に適応。

1日1回就寝前、小児は年齢に応じて1日2回朝食後・就寝前。

小児適応あり。

自動車運転等の注意。

2010年発売。

ジルテックを光学分割したもの。副作用の少ない方をとってきているので、ジルテックの眠気が抑えられた感じの薬。ただ、ジルテックより効かないという患者さんも結構いる感覚。。。気のせいかもしれませんが。ジルテック同様、夕食後などで処方されている場合は念のため、疑義しておきましょう。

アレロック(オロパタジン)

鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患に適応。

1日2回朝食後・就寝前。

小児適応あり。

自動車運転等の注意。

2001年発売

タリオン、アレグラなどと並んでもっとも多く出ている抗ヒスタミン薬の一つ。特にかく効果がしっかりでる印象。眠気もやっぱり出るみたいですね。食事の影響とかがあるわけではないようですが、朝夕食後できたら一応疑義しとくの良いでしょう。

ビラノア(ビラスチン)

鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患に適応。

1日1回空腹時使用。

小児適応なし。

自動車運転等の注意喚起なし。

2016年発売

新規参入組のひとつ。眠くならないけど、効果もつよい。ただし、食事の影響で効果が薄れるため、必ず空腹時。食事1時間前から食後2時間を避けて使用。食後処方の場合は疑義。

ルパフィン(ルパタジン)

鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患に適応。

1日1回、食後・空腹時等の指定なし。

12歳未満の小児適応なし。

自動車運転等の注意。

2017年発売、2018年12月より長期処方可能。

もっとも新しい抗ヒスタミン薬。効果もしっかり出るが眠気もしっかり出る印象。抗血小板活性化因子(抗PAF)作用を持つのが特徴。すでに長期処方が解除されている。

❕付録2:薬剤師クイズ 〜辞めた後の問題〜❕

一年目で辞めてしまった薬剤師へのアンケートで、「退職後に問題になったこと」で最も多かった回答はどれ?

A. 転職先で経験や技術が不足していると感じた
B. 給料が下がった
C. その後も転職を繰り返すようになった
D. 特に問題になることはなかった

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