インフルエンザや風邪で使う漢方の麻黄湯を服薬指導する際のポイントなどまとめてみました。
麻黄湯の効能効果には感冒、インフルエンザなど
麻黄湯は近年はインフルエンザにもよく使われているイメージですね。
改めて効能効果を見ると、なんと「インフルエザ」とはっきり書かれています。ここまで言い切るのもある意味すごいですね。ついでにいうと、「関節リウマチ」や「喘息」もはっきりと効能効果に書いている。。。ポテンシャルを感じる漢方ですね。
ただ、個人的には今のところ、リウマチに麻黄湯を使っている処方は出会ったことないです。検索してみるとそれなに文献とかあるので専門の先生なら使うケースもあるのかも。
一般的にはやっぱり風邪とかインフルエンザで使うのが多そうですね。
ツムラ麻黄湯エキス顆粒の正式な効能効果は以下の通りです。
悪寒、発熱、頭痛、腰痛、自然に汗の出ないものの次の諸症:
感冒、インフルエンザ(初期のもの)、関節リウマチ、喘息、乳児の鼻閉塞、哺乳困難
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麻黄湯の作用機序|インフルエンザのウイルスを抑えるエビデンス
麻黄湯の作用機序、特にインフルエンザに使うときは、そんなにマニアックな人でなくても気になるケースが多いようで、何回か聞かれたことあります。何でにインフルエンザに効くの?と。
エビデンスも含め最近の文献を探してみましたが、Organ Biologyの文献を参照すると、血清のIgM抗体やIgG1抗体、肺洗液中のIgM抗体価の有意な上昇が認められ、このことから麻黄湯のin vivoでの抗インフルエンザウイルス作用の発現には、少なくともその機序の一部にウイルス結合性の自然抗体を増やす効果があることが推定された、とされています。結論としてインフルエンザウイルスの増殖を抑えるようです。
ウイルスを抑えるというのは漢方薬にはあまりイメージがありませんでしたが、結構しっかり効く感じですね。
他にもいくつか文献があり、インフルエンザに効くとういエビデンスはそこそこありそうですね。予防にも効果があるのかはいまいちわかりませんでした。
患者さんに説明する場合は、免疫を高め、インフルエンザのウイルス増殖を抑えるという程度に伝えるのが良さそうですね。
Organ Biology VOL.25 NO.1 2018 山田陽城
麻黄湯の用法用量、脱水には注意
ツムラの普通の漢方の用法です。
1日2〜3回が基本。食前もしくは食間。食後処方は1回は疑義かけるのが無難。
1回1包、1日3回食前の処方であれば、患者さんには、1回1包を1日3回、食前で使ってください、飲み忘れた時は食後でも構いませんよ、ですかね。
食事取れなくても使ってください、と付け加えても良いですね。
結構汗をかく可能性がある薬のため、脱水にも注意喚起した方が良さそう。
タミフル、リレンザ、イナビル、ゾフルーザと併用されていても問題なし。
生薬の構成はツムラ麻黄湯では以下の通り。
日局キョウニン 5.0g
日局マオウ 5.0g
日局ケイヒ 4.0g
日局カンゾウ 1.5g
カンゾウが1.5g含まれているので、普段他の漢方を使っている場合は、カンゾウが5g超えないかを見た方が良い。
麻黄湯の妊娠中・授乳中は長期は避けるのが無難
おまけで妊娠中・授乳中の使用も調べて見ました。
まずは授乳中。エビデンスは大分県産婦人科医会の母乳とくすりハンドブック。麻黄湯としては記載がないものの、マオウ自体の評価は◎。一応乳児の睡眠状態をモニターするとのこと。添付文書には授乳中の注意喚起なし。
続いて妊娠中。成育医療研究センターとかにも記載がなかったですが、愛知県薬剤師会 妊婦・授乳婦医薬品適正使用推進研究班発行の妊娠・授乳と薬 対応基本手引きを参照すると、使用可能だが、長期を避けるとの評価。まぁそうですよね。添付文書は有益性が上回る場合といういつもの文言。
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