用法が食前の薬のうち、胃薬、消化管機能調整薬についてまとめてみました。
胃薬、消化管機能調整薬における食前に使用する薬の一覧
食前使用の薬の中でも胃薬系、消化管系の薬は食前の用法を遵守しないと効果に直結するケースがあったりします。
主な薬の一覧は以下の通り。
分類 | 一般名 | 製品名 | 用法 |
防御因子増強薬 | アルギン酸ナトリウム | アルロイドG | 1日3-4回空腹時 |
防御因子増強薬 | アズレンスルホン酸ナトリウム | アズノール | 1日3回食前 |
D2受容体拮抗薬 | ドンペリドン | ナウゼリン | 1日3回食前 |
メトクロプラミド | プリンペラン | 1日2-3回食前 | |
イトプリド | ガナトン | 1日3回食前 | |
5-HT4刺激薬 | モサプリド | ガスモチン | 1日3回食前・食後 |
AChE阻害薬 | アコチアミド | アコファイド | 1日3回食前 |
❕付録1:薬剤師クイズ 〜新人薬剤師の退職理由〜❕
一年目で辞めてしまった薬剤師にアンケートを実施した結果、退職理由で最も多かったものはどれ?
A. 勤務時間やシフトの不満
B. 業務内容の不満
C. 人間関係の不満
D. 給与面の不満
食前使用の理由
上記の薬剤についてそれぞれ食前使用の理由を確認すると以下の通り
一般名 | 製品名 | 食前の理由 |
アルギン酸ナトリウム | アルロイドG | 胃粘膜に作用して効果を発揮。空腹時使用 |
アズレンスルホン酸ナトリウム | アズノール | |
ドンペリドン | ナウゼリン | 食事で吸収が遅延 |
メトクロプラミド | プリンペラン | 食事で吸収が遅延 |
イトプリド | ガナトン | 食事で吸収が遅延 |
モサプリド | ガスモチン | Tmaxが遅延、食後でも可能 |
アコチアミド | アコファイド | Tmaxが遅延、Cmax低下 |
アルロイドGはその作用機序から食後で処方がきたら疑義した方が良さそうですね。アズノール錠は詳しく調べてみてませんが、食前の理由は明確にはわかりませんでした。作用機序から考えると食後でも効果がないということはなさそうですが。同じアズレン含むマーズレンが食後でもとおるので有りな気もします。
ナウゼリン、プリンペラン、ガナトンは食後処方あるあるの薬剤ですね。疑義するか迷うところですが、初回だけは疑義しても良いかな〜といったところ。実際には食後でもよく使われる印象。
ガスモチンは食前・食後どちらでもOK。ガナトンあたりと混同しないよう、一応挙げときました。
最後にアコファイド。これはまだ新しい薬だし、食後で処方がきた場合は必ず疑義かけた方が良いでしょう。
食前はいつか?直前の可否、飲み忘れの対応
上記のような胃薬系、消化管調整系は正直厳密な食前じゃなくても効果は期待できるでしょう。理想は30分前ですが、直前でも飲み忘れるよりは良し、最悪食後でも飲まないより飲んだ方が良いものばかりの気がします。一応、飲み忘れの対応をくすりのしおりからまとめてみました。
一般名 | 製品名 | 食前飲み忘れの対応(くすりのしおり) |
アルギン酸ナトリウム | アルロイドG | 気づいた時使用。次の使用時間が近い場合は1回飛ばし。 |
アズレンスルホン酸ナトリウム | アズノール | 気づいた時使用。次の使用時間が近い場合は1回飛ばし。 |
ドンペリドン | ナウゼリン | 1回飛ばし。 |
メトクロプラミド | プリンペラン | 気づいた時使用。次の使用時間が近い場合は1回飛ばし。 |
イトプリド | ガナトン | 気づいた時使用。次の使用時間が近い場合は1回飛ばし。 |
モサプリド | ガスモチン | 気づいた時使用。次の使用時間が近い場合は1回飛ばし。 |
アコチアミド | アコファイド | 1回飛ばし。 |
上記の通り、くすりのしおりでは、ほとんどが気づいた時使用で、次の使用時間が近い場合は1回飛ばし。ナウゼリンはくすりのしおりだと1回飛ばしですが、これも実際には気づいた時服用して良い気がする。
問題はアコファイド。食後に気づいた時でも副作用がでるとかではない。動態データからも全く効果がないとは考えにくい。しかし、いかんせんエビデンスが少ない気がする。当面はくすりのしおり通り1回飛ばすよう指導するのが良いかもしれない。
コメント