クラビットの処方箋の記載されている「レボフロキサシンとして」の意味を考察してみました。
クラビットの処方箋の記載
クラビットの処方で以下のような記載を見かけます。
Rp.1 クラビット錠500mg(レボフロキサシンとして) 1錠 分1 朝食後 5日分以下余白 |
この処方箋で「(レボフロキサシンとして)」の意味について前から少し気になっていました。
というのも、クラビットの成分はレボフロキサシンなので、そりゃーそうだろうと。
この記載に何の意味があるのか割と疑問でした。
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レボフロキサシンは水和物だから?
上記の記載の理由としてひとつ考えたのが、レボフロキサシンはレボフロキサシン水和物としてクラビットの製剤になっており、クラビット錠500mgだと、レボフロキサシン水和物としては512.5mgであり、あくまで水和物のない無水物のレボフロキサシンが500mgだから?というもの。
レボフロキサシン水和物として500mgじゃないよ、あくまでレボフロキサシンとして、だよ、と言いたいのか。
たぶんこれがなんとなく正解かなと思います。
しかし、なぜそんなことでわざわざ表記するのか。クラビットは250mg錠とか、細粒とかもあるので、この変と間違わないようにする注意喚起の意味も少しあるのかと(この記載があるから間違えがなくなるということはない気がしますが)。
この考えだと他の水和物製剤も同様の記載が必要でないのかと思います。
というわけで、同じくキノロン系で複数規格があるものを見てみました。
例えばシプロフロキサシンを含むシプロキサン錠は100mgと200mgの2つの規格があります。成分もシプロフロキサシン塩酸塩水和物であり、100mgを例にするとシプロフロキサシンが100mg(水和物だと116.4mg)ということで、クラビットと同じ状況ですね。
しかし、こちらはマスタをみても「シプロフロキサシンとして」という記載はありませんでした(厚生労働省 処方箋に記載する一般名処方の標準的な記載)。
細粒がないからか?と思い、今度は細粒の製剤があるグレースビット錠50mg(同じく水和物だと53.3mgになる)を見てみましたが、こちらもマスタに「シタフロキサシンとして」という記載はなし。
というわけで、規格が複数あるから無水物での表記を統一、という仮説はハズレなのかと思いました。
クラビットのデータの問題か
おそらく水和物と無水物のmgの問題で「レボフロキサシンとして」の記載をしているのは正解な気がする。
では、なぜクラビットだけこんな表記で、他のキノロン系はないのか。
となると次に考えられるのが、データの問題かと。
クラビットはキノロン系の中でも割と昔からあり、発売後に用法などが変わった経緯もある薬剤です。
というわけで、なんか昔のデータと新しいデータとで齟齬が生じて、mg数をはっきりさせないといけなくなった、、、みたいな理由が考えられたり。
m3.comの薬剤師掲示板にも同様の質問
というわけで困った時のm3.comの薬剤師掲示板ですが、同様の疑問を持つ人がいたようで、「レボフロキサシンとして」の意味を確認している内容もあります。
詳しい内容の転載はしかねますが、やっぱり臨床試験のデータなどが関係している可能性があるようですね。
臨床試験の段階で水和物か無水物かで統一できなかったので、処方時には無水物の量で統一しましょうということなんでしょうかね。
まぁ現場で普通に働く分にはあまり真剣に考える必要はなかったのかもしれません。しかし、処方箋で少しでも疑問があればやっぱり薬剤師としては解消しておきたいものですね。
詳しい内容に興味があればm3.comの薬剤師掲示板も参照してみてください。
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