外用薬の使用部位が書かれてない処方箋は日常茶飯事かと思いますが、これはどのような場面で問題になるか考察してみました。
外用薬の使用部位はレセプトでは不要
外用薬の使用部位の記載について、まずはレセプトに関してです。
レセプトの請求の際に外用薬の使用部位は省略できるとされています。
その根拠として、平成30年3月26日、保医発0326第5号の「診療報酬請求書等の記載要領等について」等の一部改正についてがあります。
Ⅳ 調剤報酬請求書及び調剤報酬明細書に関する事項
第2 調剤報酬明細書の記載要領(様式第5)
2 調剤報酬明細書に関する事項
(21) 「処方」欄について
ア 所定単位(内服薬(浸煎薬及び湯薬を除く。以下同じ。)にあっては1剤1日分、湯薬にあっては内服薬に準じ1調剤ごとに1日分、内服用滴剤、屯服薬、浸煎薬、注射薬及び外用薬にあっては1調剤分)ごとに調剤した医薬品名、用量(内服薬及び湯薬については、1日用量、内服用滴剤、注射薬及び外用薬(ただし、湿布薬を除く。)については、投薬全量、屯服薬については1回用量及び投薬全量)、剤形及び用法(注射薬及び外用薬については、省略して差し支えない。)を記載し、次の行との間を線で区切ること。
上記の下線の通り、外用薬の用法について省略することが認められており、レセプトに関しては、使用部位の記載がなくても問題ないことになります。
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A. 勤務時間やシフトの不満
B. 業務内容の不満
C. 人間関係の不満
D. 給与面の不満
個別指導では指摘される事項となり得る
前述の通り、レセプトでは必ずしも外用薬の使用部位は必要ありませんが、薬局の個別指導では指摘され得る事項の一つと言えます。
例として、関東信越厚生局の平成27年度に実施した個別指導において保険薬局に改善を求めた主な指摘事項を参照します。
2.処方せんの取扱い
処方せんに不備があるにもかかわらず、疑義照会せずそのまま調剤している例が認められたので改めること。
・用法・用量の指示等の記載がないもの、または記載が不備であるもの
・外用薬、注射薬、頓服薬の用法の指示等の記載が不完全であるもの
・外用薬において、使用用量、使用時点、使用部位の記載がないもの
上記のような指摘があり、処方箋に外用薬の使用部位の記載がない場合は個別指導で指導の対象になる可能性が窺えます。
ここから考察すると、外用薬の使用部位は患者さんに確認すれば良いというものでもなく、あくまで処方箋の不備として扱われ、疑義照会をして医師の指示をもらう必要があるということが推察されます。
外用薬の使用部位がわからないとそもそも服薬指導ができない
レセプト、個別指導の面から見ていきましたが、そもそも論として、外用薬をどこに使用するかわからなければ、まともな服薬指導できないですよね。薬歴の要件も満たさない気もしますし。
まとめると、理想としては処方箋に外用薬の使用部位の記載がなければ、疑義照会をして部位を医師に確認する。それができなければ最低でも患者さんから聞くのが必要最低限の対応といえるでしょう(この場合は、個別指導の指摘の対象になってしまうかもですが。)。
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