新たに登場した新規機序のトリンテリックスの特徴について、発売日、薬価、効果、副作用などまとめました。
トリンテリックスの特徴
トリンテリックス(成分名:ボルチオキセチン)は2019年の11月に新たに発売となった抗うつ剤です。
SNRI、SSRI、NaSSA、いずれにも属さない新作用機序であり、セロトニン再取り込み阻害・ セロトニン受容体調節剤とされています(トリンテリックス錠10mg/トリンテリックス錠20mg 添付文書)。
抗うつ剤にまた新しい選択肢が登場した感じですね。
トリンテリックスの発売は2019年11月27日
トリンテリックスは2019年9月20日に承認、2019年11月19日に薬価収載、2019年11月27日発売となりました。
薬価収載から発売までかなりのスピード対応ですね。メーカー側が結構力を入れている製品なのかもしれませんね。
ちなみに製造販売のメーカーは天下の武田薬品工業株式会社です。ということはスズケンからは買えないのかな。。。
14日の投与日数制限2020年11月まで|2020年12月から長期処方が解禁
いわゆるピカ新なので、トリンテリックスは例のごとく14日の日数処方制限があります。
発売から1年なので、2020年の11月までが14日処方。2020年12月から晴れて長期処方が解禁となりますね。
トリンテリックスの薬価
トリンテリックスの薬価は、トリンテリックス錠10mgが1錠168.9円、トリンテリックス錠20mg が1錠253.4円となっています。
この薬価は比較的新しめの薬価と比較しても高すぎず、低すぎずですかね。
参考までに、リフレックス・レメロン、イフェクサー、レクサプロあたりと比べてみました。
薬剤名 | 規格 | 薬価 |
トリンテリックス | 10mg | 168.9 |
20mg | 253.4 | |
リフレックス/レメロン | 15mg | 154.8/154.2 |
30mg | 256.2/255.1 | |
イフェクサー | 37.5mg | 142.9 |
75mg | 240.3 | |
レクサプロ | 10mg | 196.0 |
20mg | 294.1 |
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トリンテリックスの効果や作用機序、副作用など
トリンテリックスの効能効果は「うつ状態・うつ病」のみ。
用法用量は基本が10mgで最大20mgに増量。漸増とか初期用量うんぬんとかはなくて、割と使いやすいですね。
通常、成人にはボルチオキセチンとして10mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により1日20mgを超えない範囲で適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて行うこと。
トリンテリックス錠10mg/トリンテリックス錠20mg 添付文書
トリンテリックスの作用機序
トリンテリックスは新規作用機序の薬ですね。インタビューフォームとかでもSSRI、SNRI、NaSSAと異なる、とわざわざ明記しているくらいです。
まずは、セロトニン再取り込み阻害作用。これは抗うつ剤だとおなじみの作用機序ですね。
続いて、セロトニン受容体調節作用。これがトリンテリックスの特徴ですね。5-HT3、5-HT7及び 5-HT1D受容体アンタゴニスト作用、5-HT1B受容体部分アゴニスト作用、5-HT1A受容体アゴニスト作用とのこと。
セロトニン受容体は結構奥が深いですよね。。。微妙なさじ加減で作用が随分と変わってくるので難しいところですが、上記のように複数のセロトニン受容体に作用するため、セロトニン受容体作用調節と命名されているみたいですね。
トリンテリックスの副作用
副作用の内容については、従来の抗うつ剤とさほどプロファイルは変わらない感じ。
頻度上位は悪心200例(19.0%)、傾眠63例(6.0%)及び頭痛60例(5.7%)。
トリンテリックスの服薬指導の注意点
トリンテリックスを実際投薬することになった場合、従来の抗うつ剤とさほど服薬指導の内容は変わらない印象。
まず、用法は食後の縛りはなし。就寝前の用法できても疑義は必要なさそう。
併用禁忌はMAO阻害剤。具体的には従来から要注意のエフピーと、最近登場してきた要注意人物のアジレクト。他の抗鬱剤と同様にこれらとは禁忌。パーキンソン持っている人は注意ですね。
CYP2D6が割と代謝に関係してそうなので、これらの阻害剤は併用注意。禁忌ではない。
とまぁ、そこまで注意を要する感じではありませんが、あとは市販直後調査とかで何か新しい副作用とかが出てこないか、とかは注視したいところですね。なんせ新規作用機序なので。
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