花粉症シーズンなどは、患者さんからも抗ヒスタミン薬の効果時間について聞かれることありますよね。その対策で効果時間がわかるものまとめて一覧で比較してみました。
なお、効果の強さとか服薬指導のポイントは以下の記事の方を参考にしてください。
抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬の使い分けと服薬指導|患者さんにどう説明する?
第二世代の抗ヒスタミン薬の効果時間の一覧
第二世代の抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬で近年使われるものをまとめました。
情報のソースはインタビューフォームですが、インタビューフォームに記載がないもので他に情報があったものは括弧書きでそれを掲載しました。
一般名(成分名) | 主な製品名 | 効果発現時間 | 効果持続時間 |
フェキソフェナジン | アレグラ | 60分 | – |
ロラタジン | クラリチン | 2時間 | 14時間 |
デスロラタジン | デザレックス | – | – |
エピナスチン | アレジオン | (30分) | (24時間) |
エバスチン | エバステル | 4時間 | 24時間 |
ベポタスチン | タリオン | 30〜60分 | 12時間 |
セチリジン | ジルテック | 40分〜1時間 小児:4時間 |
24時間 |
レボセチリジン | ザイザル | 1時間 | 32時間 |
オロパタジン | アレロック | (70分) | – |
ビラスチン | ビラノア | 1.5時間 | 24時間 |
ルパタジン | ルパフィン | 15分〜 | 24時間後に69% |
第二世代の中でも少し古いものでアゼラスチン(アゼプチン)、メキタジン(ゼスラン・ニポラジン)、オキサトミド(セルテクト)、ケトチフェン(ザイザル)、エメダスチン(ダレン、レミカット)とかありますが、近年はメインは上記の表のものが多いかと思いますので省きました。また、番外編としてエメダスチンを含むアレサガテープ、フェキソフェナジンと塩酸プソイドエフェドリンを含むディレグラもありますが、今回は外しておきます。
❕付録1:薬剤師クイズ 〜新人薬剤師の退職理由〜❕
一年目で辞めてしまった薬剤師にアンケートを実施した結果、退職理由で最も多かったものはどれ?
A. 勤務時間やシフトの不満
B. 業務内容の不満
C. 人間関係の不満
D. 給与面の不満
抗ヒスタミン薬各薬剤の情報の正確性は
同じインタビューフォームの情報でも、効果時間については記載の方法がまちまちであり、安易には横並びにできない情報だと思います。
デザレックスなんかはインタビューフォームには動物実験の結果が記載しており、ここからは30分〜1時間で効果が現れ始めるとも読み取れますが、横並びの効果時間として記載するのは抵抗がありました。ただ、その成分特性的にロラタジンよりも効果発現が遅くなることはないと考えて良い気がします。
アレジオンもインタビューフォームに記載がありませんが、市販薬のアレジオンのメーカーであるエスエス製薬のwebサイトに効果時間の情報があります。臨床データに基づいているのか不明な面はありますが、製薬会社が公式に公表している情報なのである程度信憑性がありそうです。市販薬といえど同じ成分なので、処方薬の効果時間も同じと考えて良いでしょう。
抗ヒスタミン薬の主役候補であるアレロックもインタビューフォームに効果時間の記載がありませんでした。文献を探すと、ヒスタミン皮内反応に対する抑制試験をやった結果があり、これだと70分効果から効果が見られたことが示唆されています。(参考文献:山田 秀和ほか, 皮膚の科学4(5), 2005)同文献に持続時間は特に記載がないですが、体感的も半日くらいはある感じ。1日2回の薬ですしね。
ルパフィンの記載はちょっと他とテイストが違うというか。。。15分て本当かよと思っていますが、少なくとも発現まで遅くはないんでしょうね。持続時間も抑制率が24時間後に最大69%という話。効いているという表現ではない。
抗ヒスタミン薬の効果時間の考察
前述の通り、多少差はあれど、どれも1,2時間すれば効いていくるのがほとんど。エバステルが発現時間が4時間となっているが、これも体感的には4時間前でも全く効いていないということはない気がする。
持続時間についても個々の薬剤の尺度が異なっていることがあるため、インタビューフォームに記載されいる時間を額面通りに受け取るべきではないが、1日2回使用のものは半日程度、1日1回のものは1日効果が持続するという程度の認識で良いかも。
ただ、1日1回の薬剤は実際には途中で効果が切れるのを実感するという患者さんの声も結構聞くことがある(デザレックスしかりザイザルしかり)。そうゆう意味では1日2回使用する用法を持つ薬剤は、一見回数が多くてデメリットにも思えるが、1日2回使うことで効果を持続させられるのがメリットという見方もできるのかも。
結論として、患者さんに伝えるとしたら、効果発現時間は早ければ1時間以内、大抵は1,2時間以内で実感できる、持続時間は1日2回のものは半日程度、1日1回のものは1日近く効果が持続する、で丸めて説明して、もう少し詳しく知りたい患者さんの場合は、個々のデータを持ち出すくらいがちょうど良いかもですね。
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