地域支援体制加算について算定要件などをまとめています。
調剤基本料1を算定しているかどうかで大きく異なる
地域支援体制加算の算定要件は、厚生労働省の通知を参照して確認していきます。
特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(通知) 平成30年3月5日 保医発0305第3号
地域支援体制加算を算定する基準の難易度は、調剤基本料1を算定しているかどうかで大きく異なります。
まずは、調剤基本料を1を算定している場合です。
ア 調剤基本料1を算定する薬局の場合
(イ) 麻薬及び向精神薬取締法(昭和 28 年法律第 14 号)第3条の規定による麻薬小売業者の免許を取得し、必要な指導を行うことができること。
(ロ) 在宅患者に対する薬学的管理及び指導の実績としては、当該加算の施設基準に係る届出時の直近1年間に在宅患者訪問薬剤管理指導料、居宅療養管理指導費又は介護予防居宅療養管理指導費の算定実績を有していること。
(ハ) 当該保険薬局は、地方厚生(支)局長に対してかかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料に係る届出を行っていること。
調剤基本料1を算定している場合は、麻薬の免許をとっていること、在宅の実績があること、かかりつけ薬剤師指導料算定の届け出を行っていることが前提条件となります。
調剤基本料1以外の場合は高難度
一方で調剤基本料1以外を算定している場合は、かなり難易度が上がります。
夜間・休日等加算が400回以上、麻薬管理指導10回以上
まずは夜間・休日等加算や時間外等加算が400回以上と、麻薬管理指導10回以上という条件です。
いきなりハードルが高い条件ですね。夜間・休日等加算や麻薬管理は、門前の病院・クリニッックによってかなり左右される内容と言えるので、薬局の努力次第でどうにかなるものでもない気がしますね。
イ 調剤基本料1以外を算定する薬局の場合
地域医療に貢献する体制を有することを示す相当の実績として、常勤薬剤師一人当たり、当該加算の施設基準に係る届出時の直近1年間に、以下の(イ)から(チ)までの全ての実績を有すること。(イ) 「区分番号 01」の「注4」(時間外等加算)又は「注5」(夜間・休日等加算)に規定する加算の算定回数が合算して計 400 回以上である。
(ロ) 「区分番号 10」の「注3」、「区分番号 13 の2」の「注2」、「区分番号 15」の「注2」、「区分番号 15 の2」の「注2」、「区分番号 15 の3」の「注2」、居宅療養管理指導費の「注2」又は介護予防居宅療養管理指導費の「注2」(麻薬管理指導加算)に規定する加算の算定回数(「区分番号 13 の3」のかかりつけ薬剤師包括管理料を算定している患者に対し、これに相当する業務を実施した場合を含む。)が合算して計 10 回以上である。
重複防止加算40回以上、かかりつけ40回以上
続いては、重複投薬・相互作用等防止加算、かかりつけ薬剤師指導料をそれぞれ40回以上という条件です。
この2点は、比較的現実味のある数値ですね。1年あればこの数字を実施するのはさほど難しくはないでしょう。
(ハ) 「区分番号 10」の「注4」若しくは「区分番号 13 の2」の「注3」(重複投薬・相互作用等防止加算)に規定する加算又は「区分番号 15 の6」の在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料の算定回数(「区分番号 13 の3」のかかりつけ薬剤師包括管理料を算定している患者に対し、これに相当する業務を実施した場合を含む。)が合算して計 40 回以上である。
(ニ) 「区分番号 13 の2」のかかりつけ薬剤師指導料又は「区分番号 13 の3」のかかりつけ薬剤師包括管理料の算定回数が合算して計 40 回以上である。
外来服薬支援12回以上、服用薬剤調整支援1回以上
ルールが更新された外来服薬支援と新設の服用薬剤調整支援についてです。
外来服薬支援は12回以上なので、月1回誰かに取ればいける計算です。固定の患者さんで毎月実施している人がいればそれでクリアできます。
一方、新設された服用薬剤調整支援の方ですが、1回だけという低い基準ですが、この1回が相当難しいという印象です。医師の処方権に含みこむような加算なので、よほど医師との関係性が良くないとなかなか取れないですよね。この服用薬剤調整支援はかなりネックになりそうです。
(ホ) 「区分番号 14 の2」の外来服薬支援料の算定回数(「区分番号 13 の3」のかかりつけ薬剤師包括管理料を算定している患者に対し、これに相当する業務を実施した場合を含む。)が 12 回以上である。
(ヘ) 「区分番号 14 の3」の服用薬剤調整支援料の算定回数(「区分番号 13 の3」のかかりつけ薬剤師包括管理料を算定している患者に対し、これに相当する業務を実施した場合を含む。)が1回以上である。
在宅12回以上、服薬情報等提供料60回以上
最後に在宅と服薬上等提供です。
在宅は12回以上なので、1人でも取っていれば、毎月実施するだけで自動的にクリアできます。
一方、服薬情報等提供料は60回以上です。これは日常的に意識している薬局であれば取れるかもしれませんが、今まであまり実施していなかった薬局からすると、60回というのは結構高いハードルと言えます。電話の問い合わせなどでも算定可能と判断されているので、積極的に取りに行けば60回以上は不可能ではないと思われますが、ここも意外とネックになるかもしれません。
(ト) 「区分番号 15」の在宅患者訪問薬剤管理指導料、「区分番号 15 の2」の在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、「区分番号 15 の3」の在宅患者緊急時等共同指導料、居宅療養管理指導費又は介護予防居宅療養管理指導費について単一建物診療患者が1人の場合の算定回数が合算して計 12 回以上である。
(チ) 「区分番号 15 の5」の服薬情報等提供料の算定回数(「区分番号 13 の2」のかかりつけ薬剤師指導料又は「区分番号 13 の3」のかかりつけ薬剤師包括管理料を算定している患者に対し、これに相当する業務を実施した場合を含む。)が 60 回以上である。
薬歴の記載は必須、実施回数は薬剤師1人につき
最後に前述の実施項目に関して、必ず薬歴に記載することと、薬剤師一人あたりの実績回数ということが注意書きとして記載されています。
(リ) (イ)から(チ)までに示した「区分番号 13 の2」のかかりつけ薬剤師指導料又は「区分番号 13 の3」のかかりつけ薬剤師包括管理料を算定している患者に対し、相当する業務を実施した場合を合計する場合には、薬剤服用歴の記録に詳細を記載するなどして、当該業務を実施したことが確実に遡及できるものでなければならないこと。
(ヌ) (1)における常勤薬剤師数は、届出前3月間の勤務状況に基づき、以下の①及び②により小数点第二位を四捨五入して小数点第一位まで算出する。(イ)から(チ)までの基準を満たすか否かは、当該保険薬局における直近1年間の実績が、常勤薬剤師数を(イ)から(チ)までの各基準に乗じて得た回数以上であるか否かで判定する。
① 当該保険薬局における実労働時間が週 32 時間以上である保険薬剤師は 1 名とする。
② 当該保険薬局における実労働時間が週 32 時間に満たない保険薬剤師については、実労働時間を 32 時間で除した数とする。
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B. 業務内容の不満
C. 人間関係の不満
D. 給与面の不満
調剤基本料に関わらない共通の基準
これ以降は調剤基本料の種類に関わらず、共通で必要となる基準です。
備蓄品目は1200品目以上、24時間体制
品目は1200品目以上で、24時間の応需体制を持つことですね。
(2) 保険調剤に係る医薬品として 1200 品目以上の医薬品を備蓄していること。
(3) 当該保険薬局のみ又は当該保険薬局を含む近隣の保険薬局と連携して、24 時間調剤及び在宅業務に対応できる体制が整備されていること。24 時間調剤及び在宅業務に対応できる体制とは、単独の保険薬局又は近隣の保険薬局との連携により、患家の求めに応じて 24 時間調剤及び在宅業務(在宅患者に対する調剤並びに薬学的管理及び指導をいう。以下同じ。)が提供できる体制を整備していることをいうものであり、当該業務が自局において速やかに提供できない場合であっても、患者からの求めがあれば連携する近隣の保険薬局(以下「連携薬局」という。)を案内すること。ただし、連携薬局の数は、当該保険薬局を含めて最大で3つまでとする。
連絡先の提示、24時間体制の周知
患者さんに連絡先の提示と、24時間応需体制の旨の周知を十分にすることも要件となっています。
(4) 当該保険薬局は、原則として初回の処方箋受付時に(記載事項に変更があった場合はその都度)、当該担当者及び当該担当者と直接連絡がとれる連絡先電話番号等、緊急時の注意事項(近隣の保険薬局との連携により 24 時間調剤ができる体制を整備している保険薬局は、連携薬局の所在地、名称、連絡先電話番号等を含む。)等について、事前に患者又はその家族等に対して説明の上、文書(これらの事項が薬袋に記載されている場合を含む。)により交付していること。なお、曜日、時間帯ごとに担当者が異なる場合には、それぞれ曜日、時間帯ごとの担当者及び当該担当者と直接連絡がとれる連絡先電話番号等を文書上に明示すること。
また、これら連携薬局及び自局に直接連絡が取れる連絡先電話番号等を当該保険薬局の外側の見えやすい場所に掲示すること。(5) 地方公共団体、保険医療機関及び福祉関係者等に対して、24 時間調剤及び在宅業務に対応できる体制に係る周知を自ら又は地域の薬剤師会等を通じて十分に行っていること。
OTCを含めた薬歴の管理と一定の開局時間
要件を満たすには、OTCを含めた薬歴の管理と、平日は8時間以上、かつ土日いずれかの曜日で一定時間以上の開局が必要となります。
(6) 当該保険薬局の保険薬剤師は、保険調剤に係る医薬品以外の医薬品に関するものを含め、患者ごとに薬剤服用歴の記録を作成し、調剤に際して必要な薬学的管理を行い、調剤の都度必要事項を記入するとともに、当該記録に基づき、調剤の都度当該薬剤の服用及び保管取扱いの注意に関し必要な指導を行っていること。
(7) 当該保険薬局の開局時間は、平日は1日8時間以上、土曜日又は日曜日のいずれかの曜日には一定時間以上開局し、かつ、週 45 時間以上開局していること。
管理薬剤師の基準、在宅の対応
管理薬剤師にも一定の要件が求められており、5年以上の勤務経験、週32時間以上の勤務、該当薬局にて1年以上の勤務が必須となります。
また、在宅に常に対応できるよう求められています。
(8) 当該保険薬局の管理薬剤師は以下の要件を全て満たしていること。
ア 施設基準の届出時点において、保険薬剤師として5年以上の薬局勤務経験があること。
イ 当該保険薬局に週 32 時間以上勤務していること。
ウ 施設基準の届出時点において、当該保険薬局に1年以上在籍していること。(9) 当該保険薬局は、地方厚生(支)局長に対して在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨の届出を行うとともに、処方医から在宅患者訪問薬剤管理指導の指示があった場合に適切な対応ができるよう、例えば、保険薬剤師に在宅患者訪問薬剤管理指導に必要な研修等を受けさせ、薬学的管理指導計画書の様式をあらかじめ備えるなど、在宅患者に対する薬学的管理指導が可能な体制を整備していること。また、患者に対して在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨の情報提供をするために、当該保険薬局の内側及び外側の見えやすい場所に、在宅患者訪問薬剤管理指導を行う薬局であることを掲示し、当該内容を記載した文書を交付すること。
研修の実施、メディナビ登録
定期的な研修の実施、PMDAメディナビの登録も求められています。
(10) 当該保険薬局において、調剤従事者等の資質の向上を図るため、研修実施計画を作成し、当該計画に基づき研修を実施するとともに、定期的に薬学的管理指導、医薬品の安全、医療保険等に関する外部の学術研修(地域薬剤師会等が行うものを含む。)を受けさせていること。併せて、当該保険薬局の保険薬剤師に対して、薬学等に関する団体・大学等による研修認定の取得、医学薬学等に関する学会への定期的な参加・発表、学術論文の投稿等を行わせていることが望ましい。
(11) 薬局内にコンピューターを設置するとともに、医薬品医療機器情報配信サービス(PMDAメディナビ)に登録することにより、常に最新の医薬品緊急安全性情報、安全性速報、医薬品・医療機器等安全性情報等の医薬品情報の収集を行い、保険薬剤師に周知していること。
情報提供の実施、プライバシーの配慮
医薬品の情報提供を随時できる体制にあること、投薬台にパーテーションなどを設け、プライバシーに配慮することなども求められます。
(12) 次に掲げる情報(当該保険薬局において調剤された医薬品に係るものに限る。)を随時提供できる体制にあること。
ア 一般名
イ 剤形
ウ 規格
エ 内服薬にあっては製剤の特徴(普通製剤、腸溶性製剤、徐放性製剤等)
オ 緊急安全性情報、安全性速報
カ 医薬品・医療機器等安全性情報
キ 医薬品・医療機器等の回収情報(13) 薬学管理等の内容が他の患者に漏れ聞こえる場合があることを踏まえ、患者との会話のやりとりが他の患者に聞こえないようパーテーション等で区切られた独立したカウンターを有するなど、患者のプライバシーに配慮していること。
OTCの販売、健康相談への応需
OTCの販売や、健康相談への応需に関しても求められる要件となります。
(14) 一般用医薬品を販売していること。なお、一般用医薬品の販売の際には、購入される一般用医薬品のみに着目するのではなく、購入者の薬剤服用歴の記録に基づき、情報提供を行い、必要に応じて医療機関へのアクセスの確保を行っていること。
(15) 栄養・食生活、身体活動・運動、休養、こころの健康づくり、飲酒、喫煙など生活習慣全般に係る相談についても応需・対応し、地域住民の生活習慣の改善、疾病の予防に資する取組を行うといった健康情報拠点としての役割を果たすこと。
健康相談の旨を行っている旨の周知、医療材料の提供
健康相談を行っている旨は周知する必要があること、医療材料などを提供できる体制も必要となります。
(16) 健康相談又は健康教室を行っている旨を当該保険薬局の内側及び外側の見えやすい場所に掲示し、周知していること。
(17) 医療材料及び衛生材料を供給できる体制を有していること。
また、当該患者に在宅患者訪問薬剤管理指導を行っている保険薬局に対し保険医療機関から衛生材料の提供を指示された場合は、原則として衛生材料を患者に供給すること。なお、当該衛生材料の費用は、当該保険医療機関に請求することとし、その価格は保険薬局の購入価格を踏まえ、保険医療機関と保険薬局との相互の合議に委ねるものとする。
在宅での情報共有、他の医療サービスと連携
在宅において医療機関などと情報供給ができることや、他の医療サービスとの連携も必要に応じて実施します。
(18) 在宅療養の支援に係る診療所又は病院及び訪問看護ステーションと円滑な連携ができるよう、あらかじめ患家の同意が得られた場合には、訪問薬剤管理指導の結果、当該医療関係職種による当該患者に対する療養上の指導に関する留意点等の必要な情報を関係する診療所又は病院及び訪問看護ステーションの医師又は看護師に文書(電子媒体を含む。)により随時提供していること。
(19) 当該地域において、他の保健医療サービス及び福祉サービスとの連携調整を担当する者と連携していること。
プレアボイド事例の収集、副作用報告の手順書
プレアボイド事例の収集、報告や、副作用報告の手順書の準備、報告体制の確保なども必要な要件となります。
(20) 薬局機能情報提供制度実施要領(平成 19 年3月 26 日付け薬食発第 0326026 号厚生労働省医薬食品局長通知別添)4(2)①の都道府県が定める期日の前年1年間(1月1日から 12 月 31 日)に、疑義照会により処方変更がなされた結果、患者の健康被害や医師の意図した薬効が得られないことを防止するに至った事例を提供した実績を有し、「薬局機能に関する情報の報告及び公表にあたっての留意点について」(平成 19 年3月 26 日付け薬食総発第0326001 号)に基づき、薬局機能情報提供制度において「プレアボイド事例の把握・収集に関する取組の有無」を「有」としていること。
(21) 副作用報告に係る手順書を作成し、報告を実施する体制を有していること。
集中率による後発医薬品の割合
集中率が85%を超える場合は、後発医薬品の割合が50%以上である必要があります。
(22) 特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が 85%を超える場合にあっては、当該保険薬局において調剤した後発医薬品のある先発医薬品及び後発医薬品について、規格単位数量に占める後発医薬品の規格単位数量の割合が当該加算の施設基準に係る届出時の直近3月間の実績として 50%以上であること。
(23) 上記(22)の特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が 85%を超えるか否かの取扱いについては、「第 88 調剤基本料」の「1調剤基本料の施設基準」の(3)に準じて行う。
その他の注意
その他、期間の定めなどが以下の通り決まっています。
(24) 施設基準に適合するとの届出をした後は、(1)のアの(ロ)及び(1)のイについては、前年3月1日から当年2月末日までの実績をもって施設基準の適合性を判断し、当年4月1日から翌年3月末日まで所定点数を算定できるものとする。この場合の常勤薬剤師数は、前年12 月1日から当年2月末日までの勤務状況に基づき算出する。
(25) (1)のイの(ロ)については、平成 30 年9月 30 日までの間は、常勤薬剤師1人当たり合算して計1回以上の実績がある場合、(1)のイの(ヘ)については平成 30 年9月 30 日までの間、(20)については平成 31 年3月 31 日までの間、(21)については平成 30 年9月 30 日までの間は、当該基準を満たしているものとみなす。
調剤基本料1を算定していない場合は現実的ではない
前述の通り、地域支援体制加算の算定要件を見てきましたが、調剤基本料1以外を算定している場合、この加算を取るのは現実的ではありません。
実際に調剤基本料1以外で地域支援体制加算を算定している薬局は全国でも数施設とのこと。
地域支援体制加算を算定したい場合する、まずは調剤基本料1となるようにするのが近道と絵言えるでしょう。
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