服用薬剤調整支援料は平成30年4月の改定で新たに診療報酬として新設された項目です。
この服用薬剤調整支援料の概要、注意点などをまとめてみました。
服用薬剤調整支援料の算定要件
服用薬剤調整支援料の定められている内容は以下の通りです。
区分14の3 服用薬剤調整支援料 125点
注 6種類以上の内服薬(特に規定するものを除く。)が処方されていたものについて、処方医に対して、保険薬剤師が文書を用いて提案し、当該患者に調剤する内服薬が2種類以上減少した場合に、月1回に限り所定点数を算定する。
また、留意点として以下の内容も公表されています。
区分14の3 服用薬剤調整支援料
(1)服用薬剤調整支援料は、当該内服を開始して4週間以上経過した内服薬6種類以上を当 該保険薬局で調剤している患者に対して、当該保険薬局の保険薬剤師が、患者の意向を踏まえ、患者の服薬アドヒアランス及び副作用の可能性等を検討した上で、処方医に減薬の提案を行い、その結果、処方される内服薬が減少した場合について評価したものである。
(2)服用薬剤調整支援料は、当該保険薬局で調剤している内服薬の種類数が2種類以上(うち少なくとも1種類は当該保険薬局の保険薬剤師が提案したものとする。)減少し、その状態が4週間以上継続した場合に算定する。
(3)保険医療機関名及び保険医療機関における調整前後の薬剤の種類数を調剤報酬明細書の摘要欄に記載すること。
(4)調剤している内服薬について、屯服薬は対象とはならない。また、当該内服薬の服用を開始して4週間以内の薬剤については、調整前の内服薬の種類数から除外する。また、調剤している内服薬と同一薬効分類の有効成分を含む配合剤及び内服薬以外の薬剤への変更を保険薬剤師が提案したことで減少した場合は、減少した種類数に含めない。
(5)内服薬の種類数の計算に当たっては、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤及び液剤につい ては、1銘柄ごとに1種類として計算する。
(6)保険薬剤師は処方医へ提案を行う際に、減薬に係る患者の意向や提案に至るまでに検討した薬学的内容を薬剤服用歴の記録に記載する。また、保険医療機関から提供された処方内容の調整結果に係る情報は、薬剤服用歴の記録に添付する等の方法により記録・保持する
(7)当該保険薬局で服用薬剤調整支援料を1年以内に算定した場合においては、前回の算定 に当たって減少した後の内服薬の種類数から更に2種類以上減少したときに限り、新たに算定することができる。
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服用薬剤調整支援料の注意点
服用薬剤調整支援料の第一印象として、ハードルはかなり高いという印象です。
前提条件として6種類以上の薬剤を使用している患者、その6種類は4週間以上継続しており、外用剤や頓服は除く、2種類以上が減薬した状態が4週間以上続く、同一薬効分類を含む配合剤への変更は減薬数に含まない、などが注意点と言えます。
まず、2種類以上減薬した状態が4週間以上続いた後に初めて算定できるため、月1回の頻度で来局している患者さんの場合は、減薬提案→次月に減薬されているのを確認→次月に減薬が4週間以上続いているのを確認、という流れになるため、算定できるのは最短でも提案から2ヶ月程度かかるのが一般的かと思います。
また、同一薬効分類を含む配合剤への変更は減薬数に含まないとされているため、オルメテックとアムロジピンを使用している患者さんが、アムバロ(バルサルタン+アムロジピン)やレザルタス(オルメサルタン+アゼルニジピン)1剤に変わっても減薬扱いにはならないということと解釈できます。
実際に算定するコツは
実際に服用薬剤調整支援料を算定するには、処方医とのコミュニケーションが取れてないと難しいでしょう。普段面識のない医師にいきなりFAXを送っても無視されるだけなら良い方、怒らせてしまう可能性もあります。良い先生に当たれば真剣に取り合ってくれるかもしれませんが、何の前触れもなく文書を提供するのはリスクがあると言えるでしょう。
したがって、普段からコミュニケーションを取れている医師に事前にこうゆうような提案をする可能性がある、ということを伝えておいてから実際に提案するのが無難と言えるでしょう。
また、患者さん側に対しても当然注意が必要です。留意点として「患者の意向を踏まえ」という記載があるため、減薬の意思がない患者さんに勝手に提案しておくことはできません。また、結果的に減薬し算定する際にお会計が発生することになるため、詳細を聞かれた場合にも合理的な回答ができるようにしておく必要があると言えます。
個人的に行っている手法としては、多剤を使用している患者さんには、飲み合わせがないか、数が多くて飲むのが大変ではないかなどの状況を確認し、減薬の意思がある場合には医師に減薬を提案してみることを了解していただき、実際に情報提供を医師に行う、という手順を踏んでいます。
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