乳幼児服薬指導加算について、算定要件や、手帳忘れ時のシール発行等の対応などについて確認していきます。
乳幼児服薬指導加算の算定要件
乳幼児服薬指導加算の算定要件として、平成30年の厚生労働省告示第43号のうち、区分10薬剤服用歴管理指導料において、以下のように定められている。
6歳未満の乳幼児に係る調剤に際して必要な情報等を直接患者又はその家族等に確認した上で、患者又はその家族等に対し、服用に関して必要な指導を行い、かつ、当該指導の内容等を手帳に記載した場合には、乳幼児服薬指導加算として、12点を所定点数に加算する。
算定要件とて、6歳未満の服薬指導の際に、必要な指導の上、当該な使用を手帳に記載することが条件です。
また、算定できる点数は12点となります。
さらに、平成30年3月5日保医発0305第1号の通知では以下の内容も定められています。
(30) 乳幼児服薬指導加算
ア 「注6」の乳幼児服薬指導加算は、乳幼児に係る処方箋の受付の際に、体重、適切な剤形その他必要な事項等の確認を行った上で、患者の家族等に対して適切な服薬方法、誤飲防止等の必要な服薬指導を行った場合に算定する。
イ 乳幼児服薬指導加算を算定した処方箋中の薬剤の服用期間中に、患者の家族等から電話等により当該処方薬剤に係る問い合わせがあった場合には、適切な対応及び指導等を行うこと。
ウ アにおける確認内容及び指導の要点について、薬剤服用歴の記録及び手帳に記載する。
体重の確認は必須、服用方法や誤飲防止についての指導、さらに、電話等の問い合わせには適切な回答、そして指導内容の薬歴と手帳への記録が必要となります。
上記内容のポイントをまとめると以下の通り。
・加算の対象は6歳未満
・乳幼児に対して特化した指導内容(服用方法や誤飲防止など)を手帳に記載する
・体重の確認
・服用できる剤型の確認
・電話等の問い合わせには適切に対応
・薬歴にも乳幼児に特化した指導内容を記載
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乳幼児服薬指導加算は手帳忘れの場合もシール発行で算定はできる
乳幼児服薬指導加算では、手帳への指導内容記載が必須となっていますが、患者さんがお薬手帳を忘れた場合においても、シール発行等により算定できることが、疑義解釈で明示されています(事務連絡平成28年3月31日)。
(問26)乳幼児服薬指導加算について、「指導の内容等について、手帳に記載すること」とされているが、手帳を持参していない患者に対して、手帳を交付又は手帳に貼付するシール等を交付した場合であっても、当該加算を算定できると理解してよいか。
(答)乳幼児服薬指導加算については、手帳を利用しているが手帳を持参し忘れた患者にはシール等を交付することでよいが、手帳を利用していない患者に対しては手帳を交付した場合に算定できるものであること。なお、シール等を交付した患者が次回以降に手帳を持参した場合は、当該シール等が貼付されていることを確認すること。
上記の内容のポイントとして、単なる手帳忘れなら、シールに指導内容を記載してお渡し、もともと手帳を利用していない患者さんの場合は、新しい手帳を発行したうえで、指導内容を記載することで算定可能と解釈できます。
また、次回以降の来局時に手帳シールがきちんと貼られているかも併せて確認する必要があります。そして、その確認結果も薬歴に残すのが安全と言えます。
もし、ここまで一連の作業が難しいと感じる場合は、算定しないほうが無難と言えるでしょう。
乳幼児服薬指導加算に関する個別指導の内容
平成29年の近畿厚生局の指摘内容は以下のものが公表されています(個別指導(調剤)における主な指摘事項)。
(1)乳幼児服薬指導加算について、次の不適切な例が認められたので改めること。
① 乳幼児に係る処方せんの受付の際に確認した、体重、適切な剤形その他必要な事項等について、薬剤服用歴の記録及び手帳に記載していない。
② 患者の家族等に対して行った適切な服薬方法、誤飲防止等の必要な服薬指導の要点について、薬剤服用歴の記録及び手帳に記載していない。
この点から考察するに、体重や服薬可能な剤型の確認結果、さらには乳幼児に特化した服薬方法を指導した内容を薬歴に残すのは必須と言えそうです。
さすがに患者さんのお薬手帳を実際にみられた上での指摘ではないと思いますが、手帳にも記載した旨を薬歴に残し、また、個別指導の際に堂々としていられるように、当然、実際にお薬手帳にも指導内容を書くようにするのが良いですね。
上記は平成29年のものですが、他の年度も乳幼児服薬指導加算については、同様の指摘があるようです。
乳幼児服薬指導加算の例文、コメント
実際に乳幼児服薬指導加算を算定する際に、指導する内容の例文、手帳に記載するコメントの例などを挙げていきます。
服薬方法について
比較的多くある相談内容が、1日3回の処方などで、保育園などで昼の分が飲めないというケース。
お昼の分が昼食後に服用が難しい場合は、帰宅後にすぐ昼食後の分を服用してください。その後4時間程度の間隔をみて、夕食後の分を服用するようにしてください。 |
もちろん、薬剤によっては上記のような対応ができないケースもあるため、薬剤の種類によって使い分けましょう。
散剤について
乳幼児で使われることが多い散剤については、指導する内容も多岐に渡ります。
ミルクの味が変わり、ミルク嫌いになってしまう可能性があるため、ミルクに混ぜるのは避けるようにしてください。 |
粉薬の味が苦手な場合は、予め口に水を含ませてから飲ませるなども試してみてください。 |
漢方薬は身体に合う場合は美味しく感じるとも言われています。食べ物等に混ぜても効果に大きな影響はないため、飲みやすい方法を試してください。 |
シロップ剤について
水剤に関しては、1回量を正確に使う点や保存に気をつける点などを強調するのが良いでしょう。
泡立たない程度によく振ってから、1回で使用する量をなるべく正確に量りとって使用してください。使わないときは冷蔵庫などで保管しておくようにしましょう。 |
塗り薬について
軟膏については、どうやって子供に塗るか、塗る順番などを指導するのが定番でしょう。
子供が塗り薬を嫌がるときは、テレビに集中している時や、寝ている時に塗っても良いでしょう。 |
塗る順番は○○(ヒルドイドなど広がっても良いもの)を先に使って、そのあと○○(ステロイドなど広がらない方が良いもの)の順番で使いましょう。 |
保管方法、誤飲防止について
服用方法について特別な注意喚起がない薬剤でも、保管方法や誤飲防止は指導できます。
子供が間違って口にしないように、子供の手の届かないところで保管し、直射日光を避けるようにしましょう。 |
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