ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)の使い分けについて、調剤と情報2018.2(vol.24 No.3)の情報から考察していきたいと思います。
ARBの種類
まずはARBの種類をおさらい。
成分名 | 製品名 | 日本の薬価収載 |
ロサルタン | ニューロタン | 1998年 |
カンデサルタン | ブロプレス | 1999年 |
バルサルタン | ディオバン | 2000年 |
オルメサルタン | オルメテック | 2004年 |
テルミサルタン | ミカルディス | 2004年 |
イルベサルタン | イルベタン/アバプロ | 2008年 |
アジルサルタン | アジルバ | 2012年 |
メインで使われているのは上記7種類かと思います。
アジルバ以外は全てジェネリックも発売済み。体感的には割と満遍なく使われている印象ですね。ディオバンもなんだかんだで継続している人は継続している。
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ARBの最大降圧度と降圧速後
調剤と情報2018.2(vol.24 No.3)に掲載されていたデータを引用します。
それぞれの最大降圧度と降圧速度はアジルサルタン(20)が15.3mmHg、7.1日、オルメサルタン(20)が14.7mmHg、9.2日、テルミサルタン(40)が13.7mmHg、8.9日、カンデサルタン(8)が12.9mmHg、11.0日、ロサルタン(50)が11.9mmHg、22.8日、イルベサルタン(100)が8.2mmHg、4.7日、バルサルタン(80)が7.9mmHg、7.1日という結果が報告されているようです。なお、降圧速後は最大降圧効果の95%を得るまでの必要とする日数とのこと。
個人的に意外だったのが、ロサルタンの降圧作用は思ったほど低くない。ただ、降圧速度はやはり早くないので、その辺から降圧作用がマイルドという印象が生まれているのかも。また、バルサルタンが思ってたほど血圧落ちないという印象。ただ、降圧速度は悪くない。イルベサルタンは早いけどそんなに落ちないというところでしょうか。
降圧度でいうとやはりアジルサルタン強し。オルメサルタン、テルミサルタンも主流である由縁の降圧作用ですね。
医師の使い分けの一因を探るにも非常に興味深いデータであると感じました。
ARBの使い分けは適応でも
最大降圧度と降圧速後のデータに注目しましたが、実際にはARBの使い分けは適応でされてるケースも多いです。
ブロプレスは腎実質性高血圧症、慢性心不全(軽症~中等症)でACE阻害剤の投与が適切でない場合も効能効果として明記されており、ニューロタンは高血圧及び蛋白尿を伴う 2 型糖尿病における糖尿病性腎症も効能効果として認められています。
また、代謝経路や小児の適応、薬物相互作用からの使い分けの方が実際には多いかもしれません。その辺りはまた別の回で詳しく。
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