便秘薬・下剤の一覧と使い分け

05 消化器

主な便秘薬・下剤をまとめてみました。医師の使い分けなど処方意図の参考までに。

主な便秘薬・下剤の一覧

主な便秘薬・下剤と作用機序は以下の通り。

成分名・一般名 代表製品名 主な作用機序
酸化マグネシウム マグミット 腸内での水分保持
D-ソルビトール D-ソルビトール 腸内での水分保持
センナ・センナジツ アローゼン レインアスロンによる瀉下作用
センノシド プルゼニド レインアスロンによる瀉下作用
ダイオウ レインアスロンの刺激による蠕動運動の更新
ピコスルファート ラキソベロン 腸管蠕動運動の亢進作用と水分吸収阻害作用
ルビプロストン アミティーザ 小腸におけるクロライドイオンチャネルの活性化による腸菅内への水分分泌促進
リナクロチド リンゼス 腸管分泌及び腸管輸送能促進作用、大腸痛覚過敏改善作用
エロビキシバット グーフィス トランスポーター阻害にようる胆汁酸貯留
マクロゴール4000・塩化ナトリウム・炭酸水素ナトリウム・塩化カリウム散 モビコール ポリエチレングリコールの浸透圧効果による腸管内の水分量が増加
ポリカルボフィルカルシウム ポリフル・コロネル る消化管内水分保持作用、消化管内容物輸送調節作用

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主な便秘薬・下剤の使い分け

主な便秘薬・下剤の使い分けは、最も基本的な緩下剤となるマグミット等の酸化マグネシウム、耐性との兼ね合いとなる大腸刺激性のアローゼン、プルゼニド、ラキソベロン、新規薬剤のアミティーザ、リンゼス、グーフィス、モビコール、ちょっと毛色が違うポリフルという感じでしょうか。

第一選択となるのは酸化マグネシウムが多いでしょう。ただ、近年は死亡例が報告されたり、高マグネシウム血症のリスクがあったりとで、少し使用に注意が払われる傾向が出てきています。

大腸刺激性の薬剤(プルゼニド、アローゼン、ラキソベロンなど)は原則長期使用は避けるのがセオリーで、酸化マグネスムなどのベースの薬剤を使いつつ、頓服で使用するケースが多いでしょうか。まぁ長期で使っている方も結構見ますけどね。

新しい薬剤はアミティーザは結構使いやすい印象。一応1日2回朝食後、夕食後の用法となるが、結構融通が効く。リンゼスとグーフィスは食前使用で少し使いにくい面あり、グーフィスの方が効果がしっかりでる印象、モビコールは小児でも使える。

ポリフル・コロネルは少し作用が異なるため、下痢と便秘を繰り返す場合や、カマや新規便秘薬などに併用で使うこともできる。

酸化マグネシウム(マグミット等)はもっとも基本となる便秘薬

適応は、制酸作用、便秘症、尿路蓚酸カルシウム結石の発生予防と、一応3つあるが、現在は圧倒的に便秘症でしょう。

緩下剤として使用する場合の用法は、1日2gを食前または食後の3回に分割経口投与するかまたは就寝前に1回投与。

作用機序は、腸内の浸透圧を高めて腸内腔へ水分を引き寄せて便の軟化と腸管内容物の膨張で腸管に刺激、排便促進。

最も一般的な便秘薬ですが、近年は危険性も指摘されるようになっている。腎障害持っている人は注意が必要。薬剤師的な面からいうと、錠剤の規格が数多くあったり、粉も色々な包装があったりで、用量の過誤に少し注意が必要な薬。

D-ソルビトールは吸収されない糖アルコール

適応は、消化管のX線造影の迅速化、消化管のX線造影時の便秘の防止、経口的栄養補給。

用法は、便秘の防止では、の硫酸バリウム100gに対してD-ソルビトールとして10~20g(13~27mL)。

作用機序として、D-ソルビトールは吸収されない糖アルコールであるため、腸内での水分保持作用が期待。

上記の通り、ただの便秘には適応なし。ただし、使う先生は結構使う。多分レセプトもそんあにきびしくない印象。。今の所ですが。。。個別指導だとどうなるか未経験。

これも割と効く人は効くみたいですね。作用は比較的穏やかと言われているようです。処方がきたら適応あるのか???とひっかかるかもですが。。。

アローゼン、プルゼニド、ダイオウ、ヨーデルの適応と用法と特徴

適応は、便秘症、アローゼンは駆虫剤投与後の下剤の適応もあり。

プルゼニドの用法は、1日1回12~24mgを就寝前に経口投与。

アローゼンの用法は、通常成人1回0.5~1.0gを1日1~2回経口投与。

アローゼン、プルゼニド、生薬のダイオウは、メインの作用はセンノシドの成分によるものであり、基本的な作用機序はどれも同じもの。センノシドは大腸に至り、腸内細菌の作用でレインアスロンを生成、これが大腸の蠕動運動を亢進。

言わずと知れた刺激性便秘薬。使い続けると耐性が出てくるが、案外長期で使っている人もいる。カマや新規便秘薬とも併用される印象。

ちなみにプルゼニドとアローゼンの併用もみるが、相加効果以上のものはない気がする。ちなみに東京都はレセプト通る気がする。今のところですが。。。

あと、ヨーデルも同じくセンナ製剤。成分目はセンナエキス、センノシドAになおすと1錠中16㎎となるので、プルゼニド1錠よりも少しい多いか。通常成人 1 回80㎎(1錠)を就寝前に経口投与する。

ラキソベロン(ピコスルファート)の適応と用法と特徴

内用液がよく使われる。

適応は、各種便秘症、術後排便補助、造影剤(硫酸バリウム)投与後の排便促進、手術前における腸管内容物の排除、大腸検査(X線・内視鏡)前処置における腸管内容物の排除

用法は、内用液で成人の場合、1日1 回10~15滴(0.67~1.0mL)を経口投与。その他の詳細は添付文書参照。

作用機序は、大腸細菌叢由来の酵素により加水分解、活性型ジフェノール体が腸管蠕動運動亢進、水分吸収阻害作用によって排便。

プルゼニド、アローゼンよりは癖になりにくい印象だが、刺激性なので使い続けるとやっぱり耐性がでてくる印象。ただ、慣れてない人が使えば、しっかり効果が出る印象。

アミティーザの適応と用法と特徴

適応は、慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)。

用法は、1回24μgを1日2回,朝食後及び夕食後に経口投与。ただし、1日1回とか結構融通が効く感じ。半量の12μgも追加された。

作用機序は小腸のクロライドイオンチャネル活性化による腸内への水分分泌促進、便の軟化や腸内の移動の行進。

新規薬剤の中では最もエビデンスが集まっている薬でしょう。食後使用なので割と使いやすい印象。カマとの併用もよく見る。効きすぎる人は隔日使用とかも見たことあるが、半量の12μgが発売されたので、今後はそっちも使われるようになっていくのでしょう。

リンゼスの適応と用法と特徴

適応は、便秘型過敏性腸症候群、慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)

用法は、リナクロチドとして0.5mgを1日1回、食前に経口投与。1錠が0.25mgなので通常は2錠となる。

作用機序はグアニル酸シクラーゼC受容体に作用、サイクリックGMP濃度の上昇、腸管分泌及び腸管輸送を促進。

長期処方がすでに解禁されているが、イマイチ流行ってない印象。薬剤師的には包装が大すぎるのは勘弁してほしい。今は普通の便秘にも使えるが、もともと便秘型過敏性腸症候群しか適応がなかったのが、少し尾を引いているのかも。

食前使用の理由は下痢などの副作用が多くなるからのようで、食事の影響が大きいわけではなさそうです。効く人には効くという印象。

グーフィスの適応と用法と特徴

適応は、慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)。

用法は、10mgを1日1回食前に経口投与する。最高用量は1日15mg。1錠5mgなので、通常は2錠、3錠まで増量可。

作用機序は胆汁酸トランスポーター阻害により、腸内に胆汁酸を留めて、大腸内の水分分泌増加、消化管の運動の促進。

まだ新し目だけど、結構効果がはっきり出る印象。懸念されてた初期の腹痛もそんなに訴える人いない。リンゼスと同様、食前使用だが、こちらは食前じゃないと効果が落ちるのが作用機序的にあるので、食後できたら必ず疑義が必要でしょう。

モビコールの適応と用法と特徴

適応は、慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)

用法は、年齢によって異なる。成人は初回用量が1回2包を1日1回経口投与、以降、1日1~3回経口投与、最大投与量は1日量として6包まで。詳細は添付文書を。

作用機序は、ポリエチレングリコールの浸透圧効果により、腸管内の水分量増加、便中水分量の増加による便の軟化、便容積増大による生理的な大腸の蠕動運動更新。

成分的には昔から使われていたのを調整して使いやすくしたといったところか。ただ、薬価は特別安いわけではない。まだあまり症例を見たことがないのでなんとも言えないが、2歳以上の小児でも使えるのは他の新規便秘薬と差別化ができている。

ポリフル・コロネルの適応と用法と特徴

適応は、過敏性腸症候群における便通異常(下痢,便秘)及び消化器症状

用法は、1日量1.5~3.0gを3回に分けて。食後に水とともに経口投与。

作用機序は、下痢状態では増加した水分を吸水しゲル化、消化管内容物の通過時間の遅延によって下痢を改善。便秘状態では、消化管内で水分を吸水して膨潤、内容物を軟化、容量を増加させ、便秘を改善。

他の便秘薬・下剤とは少し性質が異なる。便秘と下痢どっちにも使えるが、合わない人は下痢をすることも。カマや他の便秘薬とも併用されることも多く、補助的に使われることもある薬。

❕付録2:薬剤師クイズ 〜辞めた後の問題〜❕

一年目で辞めてしまった薬剤師へのアンケートで、「退職後に問題になったこと」で最も多かった回答はどれ?

A. 転職先で経験や技術が不足していると感じた
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C. その後も転職を繰り返すようになった
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