キノロン系と整腸剤の併用について確認していきます。
ビオフェルミンRはキノロン系の適応はない
抗生物質、抗菌剤は使用することで、腸内細菌のバランスが崩れることがあるため、下痢(人によっては便秘)になるケースも多い薬剤です。
そのため、一緒に整腸剤が処方されることも多いですが、その際に使われるのが、基本的には抗生物質に耐性のあるビオフェルミンRなどの耐性乳酸菌整腸剤です。
ビオフェルミンRの他にも、エンテロノン-R散などの耐性乳酸菌散10%製剤、ラックビーR散、レベニン普通錠(散)などが耐性乳酸菌製剤に該当します。
しかし、これらの耐性乳酸菌製剤ですが、効能効果に臨床で使われるニューキノロン系の記載はなく、適応がない薬剤となります。(厳密にはナリジクス酸はありますが、一般的なニューキノロンは対象外となります。)
少し探した限りだと、ビオフェルミンRが効かないという明確な文献は見つからなかったものの、ニューキノロンでは耐性乳酸菌にも効果が及ぶということが想定され、使用してもあまり意味がないというのが一般的な見解の様子。
まぁ適応がないので、それだけで十分併用しない理由は成り立ちますね。レセプトも厳しいみたいで、特に医師側では普通に通らないという話をよく耳にします。
ちなみにビオフェルミンRの詳細な適応は以下の通り。他の耐性乳酸菌製剤もほぼ同じですが、ラックビーR散は「テトラサイクリン系」の適応がありません。
下記抗生物質、化学療法剤投与時の腸内菌叢の異常による諸症状の改善
ペニシリン系、セファロスポリン系、
アミノグリコシド系、マクロライド系、
テトラサイクリン系、ナリジクス酸
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併用の処方箋がきたら疑義照会するべき
上記のような理由から、ビオフェルミンRなどの耐性乳酸菌製剤とニューキノロン系の薬剤は基本的には併用しても意味がないため、併用の処方箋がきた場合は疑義照会をするべきでしょう。
ニューキノロン系薬剤は具体的には、クラビット(レボフロキサシン)、グレースビット(シタフロキサシン)、ジェニナック(ガレノキサシン)、シプロキサン(シプロフロキサシン)、アベロックス(モキシフロキサシン)、オゼックス(トスフロキサシン)、スオード(プルリフロキサシン)など。
ちなみに、自分の場合は、疑義照会かけても「ビオフェルミンRのままで」という回答をされた経験があります。
その場合は、レセプト用のコメントで、「医師より併用指示あり」としたところ、おそらくレセプトは大丈夫だったと思います。ただ、このようなコメントを入れないとおそらくレセプトは通らないと思います。医師側がレセプト通ったかはわかりませんでした。
ミヤBMとビオスリーなどの酪酸系はキノロンと併用可能
キノロン系と併用できる整腸剤として、ビオフェルミンRの代わりになりうるのが、ミヤBMやビオスリーなどの酪酸菌系を含む整腸剤です。
福岡県薬剤師会のQ&Aでも酪酸菌系の整腸剤では「FQsの影響を受け難く、耐性乳酸菌製剤が臨床的に無効な場合の代替製剤になり得ることが示唆される」という回答があります。
このような点から、ビオフェルミンRなどの耐性乳酸菌製剤の代替薬としてはミヤBMもしくはビオスリーを医師に提案するのが良いでしょう。
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