薬剤師が低血糖を説明する際のポイントと服薬指導、対処法など

08 内分泌・代謝

低血糖症状の説明について、ポイントと服薬指導、対処法などを薬剤師の立場から確認しておくことをまとめました。

薬剤師は低血糖について説明するべき?

まぁ説明するべきですよね。

ただ、実際には大抵の場合、クリニックや病院で説明を受けているケースがほとんど。

説明しようとすると、わかっているのでいいです、と言われることも結構ある。

しかし、たまにクリニック・病院側で詳しい説明がないケースもある。DPP-4阻害やSGLT-2阻害の単独療法などは低血糖のリスクが少ないのであまり説明しないのかもというケースなど。

その場合でも薬局側ではハイリスク薬の加算をとるケースもあるため、その場合は低血糖については指導する必要がある。

ただ、クリニック・病院側と説明する内容が違ったりすると患者さんが混乱することがあるので、必ず正しい情報を過不足なく伝える必要がありますね。(まぁどんな情報もそうですが。。。)

低血糖の症状と原因、薬剤師が情報提供するべきもの

とりあえず、過不足ない情報をあげてみる。

症状は交感神経刺激症状と中枢神経症状。

交感神経刺激症状:発汗、不安、動悸、頻脈、手指振戦、顔面蒼白など

中枢神経症状:
血糖値50mg/dL程度:頭痛、眼のかすみ、空腹感、眠気(生あくび)など
血糖値50mg/dL以下:意識レベルの低下、異常行動、けいれんなど

原因は薬剤の用法用量間違い、食事の遅れ、食事量の加減、身体活動・運動後、飲酒、入浴など。

薬剤師としては特に薬剤の飲み間違いについては注意を払ってもらうように指導するべきでしょう。

その他の誘引要素について簡単にでも説明できるようにしておくのがマストですかね。

薬剤師が指導すべき低血糖の対処法

対処法はまぁ薬剤師だろうが同じ内容になるかと思いますが挙げておきます。

まずはブドウ糖の摂取、量は10g。ブドウ糖を含む飲料であれば150mL〜200mLを摂取するようにします。

ショ糖しかない場合は、ブドウ糖の倍量程度を飲ませる。ちなみにα-グルコシダーゼ阻害薬の場合はショ糖じゃ効果なし。薬剤師なのでここはしっかり理解しておくべし。ショ糖からブドウ糖への加水分解を阻害するため、ブドウ糖の吸収が遅れる。

 

α-グルコシダーゼ阻害薬の一覧は以下の通り。

一般名・成分名 代表製品名
アカルボース グルコバイ
ボグリボース ベイスン
ミグリトール セイブル
ボグリボース/ミチグリニド グルベス

 

ちなみに一般的ないわゆるジュースに含まれるブドウ糖の量については、愛知県薬剤師会のサイトに掲載されている表が便利。引用させていただきます。

商品名 ブドウ糖 ショ糖 容量(ml)
HI-Cオレンジ 15.40 1.22 350
はちみつレモン 15.10 1.06 350
マミー 9.81 2.13 240
HI-Cアップル 13.90 0.84 350
コカ・コーラ 12.95 3.89 350
実ごろ飲みごろ 10.70 2.85 280
オロナミンCドリンク 3.89 9.82 120
ピクニック フルーツ 6.24 1.64 200
ミロ 5.93 4.20 200
ピクニック コーヒー 4.54 2.06 200
紅茶花伝 0.12 18.70 340
ジョージア(コーヒー) 0.09 19.30 250
ネスカフェサンタマルテ 0.05 10.70 190
サントリー コーヒーボス 0.08 16.50 250
午後の紅茶 (ストレートティー) 0.09 14.60 340
ピコ (ミルクティー) 0.11 20.40 340

上記の表を見ると、コーラとか午後の紅茶は1本飲み干しても良いくらい?オロナミンCとかだと、1本だとちょっと足りないかもというとこですね。

低血糖のリスクが高い薬は

これも薬剤師としては当然知っておくべき。

スルホニル尿素(su)薬(グリベンクラミド(オイグルコン・ダオニール)、グリクラジド(グリミクロン)、グリメピリド(アマリール))、速攻型インスリン分泌薬(ナテグリニド(スターシス、ファスティック)、ミチグリニド(グルファスト)、レパグリニド(シュアポスト))、それとインスリン製剤。これらは単独でも低血糖の可能性あり。

その他の薬剤、ビグアナイド系、チアゾリジン系、αーグルコシダーゼ阻害薬、DPP-4阻害薬、SGLT2阻害薬、GLP-1作動薬は、単独であればあまりリスクはない。ただし、他剤と併用の場合は要注意。

引用・参考文献

糖尿病治療ガイド 日本糖尿病学会 編・著

上記の書籍が大変参考になります。

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