チラーヂンは就寝前や起床時に用法が設定されているケースが多い薬です。その理由について確認していきます。
チラーヂンの用法|起床時、就寝前、空腹時の指定はない
まずはチラーヂンの用法についてです。
チラーヂンの添付文書では以下の通り。
レボチロキシンナトリウムとして通常,成人25〜400μgを1日1回経口投与する.
一般に,投与開始量には25〜100μg,維持量には100〜400μgを投与することが多い.
なお,年齢,症状により適宜増減する.チラーヂン 添付文書
厳密に食後がダメとか、空腹時でないとダメという用法ではありません。
食後で処方されても、少なくとも添付文書の用法上は問題ないことになります。
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起床時や就寝前が多い理由は相互作用と食事の影響
では、チラーヂンの処方で、起床時や就寝前の処方が多い理由ですが、主に2点理由があると思います。
一つ目は他剤との相互作用。
有名なのは鉄剤、アルミニウム、カルシウム、吸着剤あたりですかね(日本医事新報社)。
H2ブロッカー系、プロトンポンプ系は添付文書にないが、アルカリ側になるため、吸収が悪くなるという話も聞く(長崎甲状腺クリニック)。
いずれにしても、他剤との同時服用はなるべく避けた方が良いかも。
そして二つ目は食事の影響。
ただし、インタビューフォームには食事の影響について記載がありません。
ただ、現場ではチラーヂンは食事で吸収が下がるというのは割とよく聞く話。病院さんサイトとかの方がよく書かれてたりしますね(伊藤病院 よくあるご質問)。
具体的な数値でみつけたのは、「空腹ならチラーヂンSは80%が小腸から吸収されますが、食事と同時では70%に低下」という数値(前述の長崎甲状腺クリニック)。
この数値を信用すると、大きな変化でないが、確実に吸収は下がる、という感じですかね。
チラーヂンが食後できたら疑義照会をするべきか
チラーヂンが食後できたら疑義照会するべきか、という点ですが、個人的にはケースバイケースかと思います。
前述の通り、添付文書の用法にて、必ずしも空腹時が指定されているわけではありません。食後が絶対にダメということはないですし、レセプトで切られる心配もないと思われます。
ただし、他の薬剤との相互作用が疑われる場合は、疑義照会をするべきだと思います。
具体的には吸収を阻害する可能性があるとされている、コレスチラミン,コレスチミド,鉄剤,アルミニウム含有制酸剤,炭酸カルシウム,炭酸ランタン水和物,セベラマー塩酸塩,ポ
リスチレンスルホン酸カルシウム,ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、このあたりは同時服用について添付文書で注意喚起されているので疑義するべきでしょう。もちろん、吸収阻害以外の相互作用も注意が必要です。
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