新しいキノロン系の経口剤、ラスビックが承認されました。ラスビックの特徴や他のキノロンとの比較を確認していきます。
ラスビックの特徴|CYP3A4で代謝
ラスビックはラスクフロキサシンを成分とするニューキノロン系の経口剤です。
適応症は以下の通りであり、泌尿器の適応はなし。いわゆるレスピラトリーキノロンですかね。ジェニナックとほぼ同じ適応症となっています。
<適応症>
咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、中耳炎、副鼻腔炎ラスビック錠75mg 添付文書
用法は1日1回1錠のみ。わかりやすくて良いですね。食後・食前の制限はなし。
用法・用量
通常、成人には、ラスクフロキサシンとして1回75mgを1日1回経口投与する。
ラスビック錠75mg 添付文書
ちなみに適応菌種については、「プレボテラ属」に適応があるのは比較的レアですね。他にプレボテラ属に適応があるのは、近年の主要な経口キノロンだと、グレースビット、オゼックスあたりですかね。
あとは、代謝に関して。CYP3A4で代謝される。慎重投与に「中等度以上の肝機能障害のある患者」の記載あり。
CYP3A4を誘導する薬物との併用注意も記載ありですね。
代謝物の脱シクロプロピル体もある程度は活性があるとのこと。未変化体の排泄率は、尿中に8.38%、未変化体と脱シクロプロピル体の排泄率の合計は、尿中に39.9%とのこと。うーん、少し判断が難しいですが、他のキノロンとは少しADMEの特徴が異なるとは言えそうですね。腎機能に応じた調節はひとまずは必要なさそう。割線もないですしね。
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ラスビックの発売日と薬価
ラスビックの発売日は2020年1月8日(水)です。
ラスビックは2019年9月20日に承認、11月19日に薬価収載、そして2020年の1月8日に発売という経緯です。承認から発売まで4ヶ月近くあったのでなんか問題あった?と思いましたが、無事発売で良かったですね。
薬価は361.4円であり、クラビット500と同じ薬価でまずまずお高い抗菌剤となっていますね。まぁキノロンは高いくらいの方が、ドクターも使うの躊躇して結果として耐性菌が生まれにくくなるかもですね。。。
ラスビックと他のキノロンとの比較
ラスビックと他の主なキノロン系を比較してみましょう。ナリジクス酸、ピペミド酸、オフロキサシン、ノルフロキサシン、ロメフロキサシンは除いておきます。
一般名 | 製品名 | 適応症 | 薬価 |
レボフロキサシン | クラビット | 呼吸器、耳鼻科、泌尿器、消化器、皮膚科、歯科等 | 361.4(500mg) |
トスフロキサシン | オゼックス | 呼吸器、耳鼻科、泌尿器、消化器、皮膚科、歯科等 | 70.8(150mg) |
プルリフロキサシン | スオード | 呼吸器、耳鼻科、泌尿器、消化器、皮膚科等 | 83.4 |
モキシフロキサシン | アベロックス | 呼吸器、皮膚科等 | 444.2 |
シプロフロキサシン | シプロキサン | 呼吸器、耳鼻科、泌尿器、消化器、皮膚科、眼科等 | 59.7(200mg) |
ガレノキサシン | ジェニナック | 呼吸器、耳鼻科 | 216.9 |
シタフロキサシン | グレースビット | 呼吸器、耳鼻科、泌尿器、歯科等 | 162.0 |
ラスクフロキサシン | ラスビック | 呼吸器、耳鼻科 | 361.4 |
こうしてみるとアベロックスは薬価高いんですね。ジェニナックも1回2錠のしようとなるので結構お高い。。。
シプロキサンは眼科領域にも使えるのは意外とレアなんですね。
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